腰が痛いよ
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名無しさんは寝返りを打ち、ある違和感を感じた為起き上がるのをやめた。
「うーん……」
「なんだ、いきなり唸って年寄くさい」
「なんか最近腰が痛くて」
「情けないヤツだ。鍛え方が足りんな」
「鍛えるって言ってもあたしは武将でもないし。腰なんて鍛えようがないでしょ。なんか股関節も痛い」
「事後に文句の多いヤツだな。そういうことがあるなら事前もしくは最中に言え。終わって締まりのない顔でとっとと寝落ちしたと思いきや起きがけに堂々つべこべいうとはな。図々しくなったな。いやある意味逞しくなったなお前」
「うー……」
なんら同情もせず
「三成はデスクワークばっかりのわりにいつ鍛えてるの?」
「お前が見ていないときだ。戦場に出ることもあるんだ。適度にやってるぞ」
「そうだったんだ。確かに三成、いいカラダしてるよね」
名無しさんは少し照れながらも、じいっと見つめて言った。
「なんか気持ち悪いぞ。褒めているのか?」
三成も苦い顔つきになった。
「うん、褒めてる。細いながらも無駄なく引き締まった綺麗な躰だよ」
「なんか変だぞ、物凄く変だ」
「え、なんで」
「お前は俺のことを褒めることはほぼない。ましてや外見を褒めることなどなかった。だから非常に不自然だ」
「あぁ、そうかな。なんか三成って格好いいとか綺麗とかって飽きるぐらい言われているでしょ。だから嫌がるかなって思ってたから、あえて言ってなくって」
「そうだな。そういう当たり前のつまらん言葉は頭の悪そうな女どもから腐るほど聞かされた」
「ほら、やっぱり。だから言わなかったの」
「正しい選択だな。お前でもたまに賢い判断をするんだな」
「いつも優しくない言い方なんだから」
「それとな、男に対して綺麗なカラダっていうのは褒め言葉にならんぞ。男が女に対していう台詞だぞ」
「そうかなあ」
三成は名無しさんをおもむろに見た。
名無しさんにとってはまるで睨まれているように感じられた。
「なに? 顔、怖いよ」
いいも悪いも聞かないで、三成は名無しさんにかけられている布団を取り去った。
「あっ、あ、ちょっと」
いきなりのことに出遅れた名無しさんは慌てて両手で胸を覆い、脚を折り畳むようにして隠そうとした。
三成は無表情に名無しさんを見下ろしていた。
「ねえ、なに?」
「悪くないな」
「それ誉めてるの?」
「どうだかな。少なくともけなしてはいないぞ」
「そう、じゃあポジティブに捉えるよ」
「めでたいやつだな」
「それも誉められてると思って受け取るよ。ね、布団返して、恥ずかしいよ」
目に映る躰の面積が少なくなるように横向きに寝たままで名無しさんは言った。
「見たついでだ。運動不足なお前の為にもう一戦付き合ってやる」
「いいよ、頼んでない頼んでない。腰が悪化しちゃうよ。遠慮しておきます」
「負担の少ない体位を選んでヤってやる。感謝しろ」
【腰が痛いよ】
―End―
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