レク
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「五十八です」
各々配られたビンゴカードを指で抜いていく。
「リーチです」
嬉しそうに幸村がいった。
「ダブルリーチだ」
良く通った声は慶次だ。
彼のカードは半分くらい穴が空いていた。当たった数だけでいえば一番だ。
「まだビンゴの方はいらっしゃらないようですね」
周囲を見回して小十郎がいった。
廻轉抽籤器 を回して、番号を読み上げるのは小十郎の役目だった。
「誰が一番に上がれるかのう」
この場を仕切るのは城主の政宗だ。
発案者である彼もビンゴゲームに参加しているが、数字が読み上げられてもマメにカードを顧みることもなく適当な感じだった。
「三十二です」
「俺もリーチだ」
三成が無表情に呟いた。
「む……」
その隣で浮かない顔で呻くのは兼続だ。
兼続のビンゴカードは真ん中以外全く貫通していなかった。
「政宗、一番に上がれたら何かあるのか?」
三成が手元のビンゴカードから政宗へと目を移して聞いた。
「うむ、そりゃよいことあるぞ」
「何か貰えるのか?」
「ご褒美用意しとる」
「どんなだ?」
「中身は流動的じゃ。楽しみにしておれ」
「なんだそれは。勿体 ぶって」
三成の口調は冷めていた。
政宗はくっくっと爆笑するのを我慢するような様子だ。
「十四です」
ビンゴした者は出なかった。
「むむ……全然数字が当たらない」
兼続は苦悶の表情を浮かべていた。
「兼続殿、一つもあかないのは極端じゃないですか」
「兼続様、今一度既出 の数字をご確認下さい」
幸村と小十郎が口々にいうが、兼続は頭を横に振った。
となりにいる三成が無言で兼続のビンゴカードを覗く。
三成は目を見開いた。
「おい、兼続のカードがおかしいぞ。359、699、435? 1059?」
珍しく驚いた声で三成がいった。
兼続のビンゴカードは三桁または四桁の数字で埋め尽くされているからだ。
「こんなデカい数字が出るわけないだろ」
「なんと?!それは誠か?!?」
「大体わかるだろ。気づかんお前もどうかしている」
「……はっははは!」
耐え兼ねたように政宗が吹き出した。
その様を見て三成は状況を察した。
「政宗が仕込んだのか。この一生あがれないビンゴカード。くだらんことを考えるな」
でも、よく出来ていると感心した。
「政宗!私をはめたのか」
「普通、気がつくじゃろ」
「くっ、そんなに私のことが気に食わぬか。これでは一等になれぬどころか余興に参加すら出来ていないではないか」
「可愛いイタズラじゃろ」
政宗は全く悪びれていない。
「仲間外れではないか!いや、別にお前のことを仲間とは思っていないが」
「わしとて思っておらぬわ」
売り言葉に買い言葉で兼続と政宗の間に不穏な空気が生まれた。
「はい。兼続様、政宗様の子供じみた悪戯に付き合わせて申し訳ございません。次の数字を申し上げます」
小十郎が政宗に目配せして淡々といった。
「六です」
「ビンゴだ」
反応よく三成が声をあげた。
「ああ!もう勝負がついてしまったではないか……」
兼続はその場でがっくりと崩れ落ちた。
「おぬしはそのスペシャルカードが配られた時点で結末が決まっとったわ」
政宗が追い討ちをかける嫌味をいうと、兼続が睨み付けた。
「おい、それ以上揉めるな」
「三成はいいではないか。一等になれたのだから。私も一等になって特典を入手したかったのに……」
「お前、そんなに景品が欲しかったのか」
天敵政宗から金品を受け取るなど言語道断。不浄なものは要らぬ、といいそうなものだが。
案外、この男――兼続は俗な余興が好きなのだ。そして相当な負けず嫌いだ。
なおも言い合いを続ける男二人に挟まれながら三成は思った。
「……と、こんなことがあったんですよ」
「そうなんだ。兼続と政宗様が揉めたって三成が言ってたのはそのことかな。
で、三成は一等になって何を貰ったの?」
「一等になった方の欲しいものを何でもひとつだけ買ってあげる、っていうのが賞品だったんです。
三成殿は、確か着物とか装飾品とかそういう類いのものをオーダーメイドして貰っているはずなんです。でも私、実物を見ていないんですよね」
「そうなんだ」
奥州から帰って、忘れなければ三成に聞いてみよう。
名無しさんは思った。
【レク】
―END―
各々配られたビンゴカードを指で抜いていく。
「リーチです」
嬉しそうに幸村がいった。
「ダブルリーチだ」
良く通った声は慶次だ。
彼のカードは半分くらい穴が空いていた。当たった数だけでいえば一番だ。
「まだビンゴの方はいらっしゃらないようですね」
周囲を見回して小十郎がいった。
「誰が一番に上がれるかのう」
この場を仕切るのは城主の政宗だ。
発案者である彼もビンゴゲームに参加しているが、数字が読み上げられてもマメにカードを顧みることもなく適当な感じだった。
「三十二です」
「俺もリーチだ」
三成が無表情に呟いた。
「む……」
その隣で浮かない顔で呻くのは兼続だ。
兼続のビンゴカードは真ん中以外全く貫通していなかった。
「政宗、一番に上がれたら何かあるのか?」
三成が手元のビンゴカードから政宗へと目を移して聞いた。
「うむ、そりゃよいことあるぞ」
「何か貰えるのか?」
「ご褒美用意しとる」
「どんなだ?」
「中身は流動的じゃ。楽しみにしておれ」
「なんだそれは。
三成の口調は冷めていた。
政宗はくっくっと爆笑するのを我慢するような様子だ。
「十四です」
ビンゴした者は出なかった。
「むむ……全然数字が当たらない」
兼続は苦悶の表情を浮かべていた。
「兼続殿、一つもあかないのは極端じゃないですか」
「兼続様、今一度
幸村と小十郎が口々にいうが、兼続は頭を横に振った。
となりにいる三成が無言で兼続のビンゴカードを覗く。
三成は目を見開いた。
「おい、兼続のカードがおかしいぞ。359、699、435? 1059?」
珍しく驚いた声で三成がいった。
兼続のビンゴカードは三桁または四桁の数字で埋め尽くされているからだ。
「こんなデカい数字が出るわけないだろ」
「なんと?!それは誠か?!?」
「大体わかるだろ。気づかんお前もどうかしている」
「……はっははは!」
耐え兼ねたように政宗が吹き出した。
その様を見て三成は状況を察した。
「政宗が仕込んだのか。この一生あがれないビンゴカード。くだらんことを考えるな」
でも、よく出来ていると感心した。
「政宗!私をはめたのか」
「普通、気がつくじゃろ」
「くっ、そんなに私のことが気に食わぬか。これでは一等になれぬどころか余興に参加すら出来ていないではないか」
「可愛いイタズラじゃろ」
政宗は全く悪びれていない。
「仲間外れではないか!いや、別にお前のことを仲間とは思っていないが」
「わしとて思っておらぬわ」
売り言葉に買い言葉で兼続と政宗の間に不穏な空気が生まれた。
「はい。兼続様、政宗様の子供じみた悪戯に付き合わせて申し訳ございません。次の数字を申し上げます」
小十郎が政宗に目配せして淡々といった。
「六です」
「ビンゴだ」
反応よく三成が声をあげた。
「ああ!もう勝負がついてしまったではないか……」
兼続はその場でがっくりと崩れ落ちた。
「おぬしはそのスペシャルカードが配られた時点で結末が決まっとったわ」
政宗が追い討ちをかける嫌味をいうと、兼続が睨み付けた。
「おい、それ以上揉めるな」
「三成はいいではないか。一等になれたのだから。私も一等になって特典を入手したかったのに……」
「お前、そんなに景品が欲しかったのか」
天敵政宗から金品を受け取るなど言語道断。不浄なものは要らぬ、といいそうなものだが。
案外、この男――兼続は俗な余興が好きなのだ。そして相当な負けず嫌いだ。
なおも言い合いを続ける男二人に挟まれながら三成は思った。
「……と、こんなことがあったんですよ」
「そうなんだ。兼続と政宗様が揉めたって三成が言ってたのはそのことかな。
で、三成は一等になって何を貰ったの?」
「一等になった方の欲しいものを何でもひとつだけ買ってあげる、っていうのが賞品だったんです。
三成殿は、確か着物とか装飾品とかそういう類いのものをオーダーメイドして貰っているはずなんです。でも私、実物を見ていないんですよね」
「そうなんだ」
奥州から帰って、忘れなければ三成に聞いてみよう。
名無しさんは思った。
【レク】
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