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私は健栄様のモルモット兼助手。
健栄様とは軍に入る前からの関係で、あの人について不安なんて抱いた事はない。
・・・・完全にないと言えば嘘になるけど・・・。それでも疑わないようにしてきた。
軍にいた時も、アカバネに移転してからも、ずっと信じてきた。
・・・・・・今だって信じているんですが。・・・少しでも思考をよぎらせると、不安という回路は恐ろしい速度で私の脳裏を支配する。
・・・その不安を持ってきたのは、アカバネのチームメンバー・狐久里さんでした。
_____数時間前。
「名無、少し出てくる。留守を任せたぞ。」
「はい健栄様!いってらっしゃいませ!」
バタン...
いつも通りモルモットの実験をしていたところ、実験器具の故障があった為健栄様は部品を買い足しに外へ出た。
器具の事はアカバネの部下の人や私でさえ詳しくはないので部品一つでも間違えば爆発したり大変なことになる。
だからこういう時は健栄様自ら買いに出る。あまりある事じゃない。
それでも私は健栄様がいなくても、多少心細くてもモルモットの実験データをまとめます!!そして試験管の薬も調合したりレポートも書いたりします!!
助手はやる事が多い。健栄様お一人だったらきっと大変だろうなあ、と日々思いを巡らせる。
そんな健栄様のお手伝いに余念のない私は今日も忙しく実験を手伝うはずだった・・・。
ピンポーン コンコンコン...
「・・・?」
健栄様・・・じゃない。誰だろう。ボス?
アカバネの人がここに来るなんてせいぜいボスか健栄様の手下の人しかいない。
でも手下の人は健栄様や私を警戒してるから滅多に来ない。・・・となると消去法でボスしか来ないはずなんだけれど・・・。
「・・・はい?ボスですか?健栄様なら今______」
「名無ちゃーん?俺だよ俺!!狐久里だよ!!」
「!?」
こ、こここ、狐久里さんっっ!!??何しに健栄様のラボに!!??
私はこの人が正直苦手・・・というか嫌いだ。何故って・・・野生の感?なんか関わっちゃいけない人って感じだし、女性を騙して薬を売ってた事もボスから聞かされて知っている。
なんでこの人がここに・・・?本当になんの用・・・?
「こ、狐久里さんっ!?健栄様に用事ですか!?今はおられませんよお!?」
「あー知ってる。蛇穴の旦那とさっきすれ違ったからよお。今日は名無ちゃんに用があんのよ。
だからここ開けてくんねー?」
「・・・私に、ですか?なんでですか?」
「これからの関係に必要な事だからよおー。な?ちょっとお話しようぜ?」
・・・私だって暇じゃないのに。でも関係に必要な事ってなんだろう・・・。
この人は少し前Dark Libertyの傘下に入ったNorth bastardの中心人物でもある。
もう傘下の大半は仲間になったとは聞くけどまだ反抗的な人達も何人かいるみたいだし・・・。
・・・私がそういった話に、なにか協力出来る事があるのかな・・・?
ガチャリ...
「よっ!名無ちゃん!」
「・・・手短にお願いしますね。私も暇ではないので。」
「つれねえなぁモルモットちゃん。俺はもっとモルモットちゃんと仲良くなりてえってのに~?」
「私はそうは思いませんが・・・。」
とりあえず客人ではあるので適当な椅子に座ってもらい、私も少し離れた向かい側に座って様子を伺う。
飲み物はお茶を出した。ちゃんと一般の人が飲む奴。
モルモット用のは別の冷蔵庫に入ってるからとりあえず間違えてない。
「・・・それで、なんの用ですか?まだまだ調和の取れてないNorth bastardの狐久里さん。」
「へえへえ。嫌味な言い方するぜ・・・。俺思ってんだけどさ、名無ちゃんと蛇穴の旦那って何年くらい一緒にいんの?」
「・・・はい?健栄様と私ですか?健栄様が実験をし始めた時からですよ。」
「だからそれって具体的にどれぐらいよ?」
「・・・数えたことありません。私の意識し始めた時からあの人の傍にずっといますよ。」
「・・・ふーん。ま、女の子に年齢聞くのは失礼だったかな。ごめんごめん!!」
早速私の過去を根掘り葉掘りしようと・・・。油断ならないなこの人は・・・。
何年一緒か数えたことないのは本当。どれくらい一緒に居ようが今あの人の元に居られたら私はそれで十分だから。
「あーあ。蛇穴の旦那も罪な男だぜ・・・。こんな可愛い子いんのに出歩いてよお・・・。」
「・・・?言っておきますが狐久里さん・・・私に何かしても健栄様には筒抜けですからね?貴方がどうなるか分かりませんよ?」
「いやいやそうじゃねえってww俺も同じチームメンバーの女に手ぇ出すほど落ちぶれてねえってばww」
「・・・・・・。」
睨みつけるも狐久里さんの表情は変わらず。ニヤけて笑っている。一体何が言いたいのやら。
さっきから真剣な話をする素振りもないし、追い返そうかと思っていた時だった。
「______名無ちゃんがいんのに、蛇穴の旦那は外でふらふらしてんだもんなぁ。
モルモットちゃん・・・もし蛇穴の旦那に彼女がいたらどうする・・・?」
聞き捨てならない言葉を聞いた。一瞬、私の思考回路は真っ白になって機能停止した。
「・・・・・えっ。なんですか、急に・・・。というか、健栄様は今日実験器具の買い足しに行ってるので・・・
そんな理由ではありません。馬鹿にしているんですか・・・?」
「バカになんてしてねえって。それよりさ、モルモットちゃんはモルモットなんだろ?
ああ、あと助手かあ。だから蛇穴の旦那に彼女いたらどう思うよ?」
胸がざわつく。嫌な事が頭によぎる。不安が妄想となり脳裏を支配する。
知らない外。知らない女性。知らない健栄様の姿・・・?
「______・・・・・。もし・・・・・。もし健栄様にそんな人がいるなら・・・・
応援しますよ・・・私は・・・。あの人の、大切な人なら・・・・。」
「おっ?意外としたたかじゃんモルモットちゃん。」
「そんなホラ話を吹き込む為にわざわざ来たんですか・・・?」
「いやあ~俺だって信じたくなかったけどよお。この前蛇穴の旦那がアカバネの女の子と楽しそうにしてるの見ちゃってさ~!?
もしかしたらと思ったまでよ?」
「狐久里さんの言った関係ってこっちの方ですか・・・。なんでそんな話を、私に・・・。」
せっかくチームの未来に関わるかと思ったのに、実際提示されたのは健栄様と私の関係を揺るがそうとする話だった。
といっても、別に揺るがないけれど・・・。・・・・これが、本当の話かどうか、分からないんだから・・・。
「だってよお、モルモットちゃんと蛇穴の旦那俺から見ても超仲良しなのに旦那ってばひでぇな~って!!
俺影から見てたんだけどすげえ楽しそうな顔して笑ってたぜ?」
「・・・・。狐久里さんが言うなら、おそらく嘘なんでしょうね。・・・・嘘なんで、しょうけどっ・・・・。
さっきも、言いましたがっ・・・・ぐすっ。健栄様に大切な人がいるなら・・・別にっ・・・べつにだいじょうぶですけどぉっ!!」
ダメだダメだ。狐久里さんの言う話なんて全部嘘だ。嘘に決まってる。
頭では分かってるのに。なのに目の前が霞んで涙が溢れて止まらない。私は元々泣き虫だって健栄様から普段言われてるのに。
「モルモットちゃんさ・・・前から思ってたんだけど、自分が都合の良い女になってると思わねえの?」
「私はあの人のモルモットで兼助手ですもん!!当たり前じゃないですかあ!!」
「利用されてるってか・・・俺からすると気の毒だと思ってさ?いっそセフレみてえな関係だと思われやしないかと忠告してやってんのさ。」
「私はそれでも良いんですっ!!実験でこの身が砕けて朽ち果てようとも、それで健栄様の力になれるなら本望ですもんっ!!
健栄様が幸せならそれでっ・・・たとえ、私の知らないあの人がいてもっ・・・私は支えになれればっ、それで・・・・」
健栄様が好き。健栄様のモルモット兼助手であることを私は誇りに思っている。
誰に理解されなくたっていい。あの人の新世界が見れるなら、傍に誰がいようと変わらないはず。
分かってる。分かってる。ただ私が勝手に好きになって、健栄様のお役に立ちたいだけで今まで生きてきた。
私は・・・・・健栄様の、新世界に居られるなら・・・・。たとえ、死んでも・・・・・
「可哀想に・・・。俺がちっとでも楽にしてやっから、これからは俺に相談してくれて良いんだぜ?」
「いやですっっ!!私は健栄様の隣で死にますっ!!!私はぁっ、蛇穴健栄様の助手なんですからぁっ!!!」
「・・・んー。ちとからかうにはハードル高かったか俺?ちょっとうるさくなってきたな・・・。」
「わああああーーーーん!!!!健栄様あーーーー!!!」
\バンッッ!!/
「何があった名無・・・
_______・・・・狐久里・・・?」
いきなり扉が勢いよく開いた。健栄様だっ。
ようやく、健栄様が帰ってきたぁ・・・!!!
「ほーら。旦那様のお帰りだよ。」
「ぐすっ、健栄様・・・健栄様あああ!!!狐久里さんがっ、こくりさんがいじめるんですうう!!!わあああああん!!!」
「狐久里・・・貴様・・・・・。名無に何を吹き込んだ・・・?」
思わず嬉しくて健栄様に抱きつく。健栄様は私が泣いてることよりも狐久里さんに警戒してるみたい。
そりゃそうですよね。普段いないはずの狐久里さんが堂々とお茶飲んでますもんね。
健栄様はギロリと鋭い目で狐久里さんを睨みつける。でも狐久里さんは何とも思ってないみたいな顔してる・・・。
「ケケケケwwwべーつにwwモルモットちゃんの忠実な愛を確かめてただけだぜ!?
_____モルモットちゃん、あんたのイカれた愛は
去り際に耳打ちでそんな言葉をかけられた。ああ、この人本当に暇潰しで私をからかいに来ただけだったんだ。
お似合いとか言われても全然嬉しくない。もう二度と来てほしくない。
やっぱり私は・・・狐久里さんの事好きになれそうにない。
「ケケケケwwwんじゃーなー!!」
\バタン/
「待て狐久里!!・・・・あとでボスに報告しておこう。奴を二度と名無に近寄らせるなと・・・。」
「ぐすっ・・・健栄様あああ・・・!!!」
「名無。一体何を吹き込まれたんだ・・・。」
健栄様に頭を撫でられていると少し気持ちが落ち着いてきた。
なので涙を拭いながら途切れ途切れに先程の出来事を説明する。
狐久里さんがからかいに来た事。多分嘘だろうけど健栄様と他の女性との事。狐久里さんはやっぱり嫌いな事。
とりあえず買った実験器具は袋ごと机に置いて、健栄様は首を傾げながらも聞いてくださった。
「事実無根だ。なんならアカバネ中の監視カメラを狐久里に見せてやろうか。」
「そんな事出来るんですかあ・・・?」
「俺の技術とボスの協力があれば可能だ。許可が下りればしてくださるだろう。
・・・それより、嘘だと分かっていながら何故奴の問いに答えた。
あいつの言葉は嘘で固められていると思え。まともに答えるな。」
「・・・・申し訳ありません・・・。・・・・でも、もし・・・もし健栄様に・・・・彼女がいたらって思うと私はっ・・・・。
健栄様格好いいから・・・きっとモテるだろうし・・・。大切な人なら、助手として応援したいと思うのは本当です・・・。」
「俺にそんなものは必要ない。実験以外の時間を他人に充てがう方が無駄でしかないだろう。
せいぜい他は戦略に使う力さえあれば十分だ・・・。名無なら分かるだろう?」
きっぱりと言い放つ姿に説得力があった。この人は彼女なんて作っている暇はない。
日々研究に没頭している健栄様が、そんな浮ついたことにうつつを抜かす人ではなかった。やっぱりそうだった。
ああ・・・。やっぱり、健栄様の目に見つめられて・・・。その手で頭を撫でられると不安がどこかへ消えていく・・・。
「・・・はい・・・そうですね。私の考えが足りていませんでした・・・。」
「それに・・・狐久里には理解出来ないだろうが・・・
____俺のサポートは名無にしか出来ない。決して奴の思う都合とやらでは名無の存在は片付けられないんだよ・・・。」
「・・・・健栄様っ・・・・。」
ドキリと心臓が鳴る。どこか目を伏せて、私を思ってくださるその真剣な姿に・・・・。
私は・・・・見惚れていた。
「名無。・・・俺はお前の事を信用している。だからモルモット兼助手で俺の傍にいるはずだ。
・・・・主人を信用してくれないのか?名無?」
そう言って私に微笑みかける。
ああ。私の知ってる笑顔だ。私だけが知る。他の誰も知らない健栄様の優しい顔。
その表情に、一気に安堵の気持ちがこみ上げてきた。
「・・・・ぐすっ・・・そうですよねっ・・・。健栄様がっ、私の知ってる健栄様が嘘つく訳ないですもんっ!!
今日だって、ただの買い出しだからすぐ帰ってきてくれたんですもんっ!!」
「そうだ。お前の好物もついでに買ってきたぞ。
・・・来い、名無。留守番ご苦労だったな。」
「うわあああああんん健栄様ああああ!!!!大好きですっ、健栄様あああああ!!!」
健栄様は私が泣くと呆れた顔をするけれど、たまに抱き締めてくれる。
これはモルモットに対するスキンシップ。別に深い意味はないって知ってる。
でも確実に言えるのは、私を宥める為にしてくださってる事で。私がこうすれば喜んで、いずれ泣き止むのを知っているから。
・・・健栄様が愛を知らなくていい。私が、貴方を好きでいさせてくれるならそれで良いんです・・・。
誰にも理解されなくてもいい。だから私は、今日も健栄様に甘えさせてもらったのでした______
-後日-
「あー・・・っとボス?俺あと何時間監視カメラ眺めればいいんですか?んでこの縄いつ解いてくれるんです?」
「ん?蛇穴が言うにはあともう2時間だとさ」
「っんで俺がこんな目に遭うんだよー!!もうつまんねえよ監視カメラ見たってえー!!」
「お前が苗字ちゃんに嘘吹き込むからだろ?蛇穴相当怒ってたからもう暫く反省だな」
「だあーー!!くそーーー!!!」