第三話
夢小説設定
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ドン、という大きな打撃音と共にハッと我に返る。
考え事をしている間に、緋村さんと戦っていた尖角という男は、顎に傷を残しピクリとも動かぬ状態となっていた。
すると。
「きゃあ?!」
「あはは、大丈夫です?」
突然目の前から勢い良く飛んできた刀に驚き思わず目を伏せる。
それをパシッと掴み取ったのは、すぐ隣にいた宗次郎だった。
「宗次郎、俺のかわりに遊んでやれ」
「いいんですか?」
「ああ。龍翔閃とやらの礼に、お前の天剣を見せてやれ」
そう言い残し、志々雄さんは由美さんと共に奥の間に隠れていた階段からこの部屋を出て行った。
この部屋に残された宗次郎と私以外は全員敵。
けれど志々雄さんのあの余裕の表情はきっと、この絶対不利な状況を覆せる程、宗次郎の強さに信用を置いている証なのだろう。
「じゃあ、遠慮なく。小雨、ちゃんと見ててくださいね。僕強いんですから」
「うん、わかった…」
不安は過るが、今はただ、宗次郎を信じるしかない。
すると、傍にいた少女の怒鳴る声が響く。
「コラ緋村!何ボーっとしてるのよ!
さっさとしないとあのホータイ男逃げ切っちゃうだろぉ?!」
言い切ると同時に、目の前から鋭い空気のようなものが突き刺さるように真っ直ぐとこちらへ飛んできた。
この正体は何なのか、常人の私にはまったくもってわからない。
「な…に…、今の…」
怒鳴った三つ編みの少女も、腰をへたっと抜かしている。
けれど当の宗次郎は、表情をピクリとも変えずに、いつものように薄ら笑いを浮かべていたのだ。
「無駄だ。そいつに剣気をたたき続けてものれんに腕押しだ。さっきから俺がずっとやってる。
その男は剣気はおろか、殺気も闘気も持ち合わせちゃいねぇんだ」
宗次郎の余裕の笑みに、敵は苦戦しているように見えた。
そんな宗次郎が逞しく見え、胸が高鳴る。
「すいません、早くしないと志々雄さんに追いつけなくなっちゃうんですけど」
宗次郎が催促すると、緋村さんは低い姿勢で構えだした。
「抜刀術…ですか。それじゃあ、僕も!」
それに便乗するように、宗次郎も同じような姿勢で構えだす。
天剣が、今、明らかになる。
続く
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