前日譚1
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“さよならだけが人生”、なのだろうか。
4歳の時、唯一の友達だった秋田犬のモモが死んだ。昨日までは元気だったのに朝起きたら冷たくなっていた。
6歳の時、お父さんとお母さんが車の事故で亡くなった。「おばあちゃんと良い子に留守番しててね」、と言って私の頭を撫でたきり帰ってこなかった。
12歳の時、実家を離れ、花開院本家の義娘となった。
卒業を控えたある日、小学校から帰るとおばあちゃんの部屋に呼ばれた。
稽古の時はいつも道場なのに珍しい、と思いながら襖を開けると花開院当主と竜二が待っていた。
「おじいちゃん!」
「おお、絵瑠、大きくなったな。」
「そんなことないよ、一昨日会ったばかりでしょ。」
私は歩いてすぐの本家にしょっちゅう出入りして、修行に付き合ってもらっている。
一昨日も竜二にこてんぱんにされかけた。竜二は手加減というものを知らないから困るのだ。
「絵瑠、今日は大事な話があるの。」
と祖母が口を開いた。
「あなた春から本家入りが決まったわ。」
「えっでも柳流は...」
「門下生の中で優秀な者を次の当主に指名します。絵瑠、あなたは本家のために力を尽くしなさい。」
柳流は私が継ぐものだとばかり思っていた。頭が鉛のようにずんと重くなる。
「それと絵瑠、お前にはいずれこの、竜二の嫁に来てもらいたい。」
27代目が付け加えるように言った。
俯いた顔を上げると竜二と目があった。竜二は聞いていたのだろう。いつもの仏頂面で私の顔を眺めていた。
許嫁に決まったことは自分でも不思議なくらい落ち着いて受け入れられた。
竜二の許嫁は絵瑠だろう、と噂されていたのは知っていた。同世代の分家の娘で陰陽師としての力が十分にあるのは私だけだ。
全てを受け入れようと思うと自然に言葉が出た。
「力を尽くせるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。」
畳に手をついて頭を下げる。
竜二は何を思っているのだろうか。12年の付き合いの中で見たことのない神妙な顔をしていた。
4歳の時、唯一の友達だった秋田犬のモモが死んだ。昨日までは元気だったのに朝起きたら冷たくなっていた。
6歳の時、お父さんとお母さんが車の事故で亡くなった。「おばあちゃんと良い子に留守番しててね」、と言って私の頭を撫でたきり帰ってこなかった。
12歳の時、実家を離れ、花開院本家の義娘となった。
卒業を控えたある日、小学校から帰るとおばあちゃんの部屋に呼ばれた。
稽古の時はいつも道場なのに珍しい、と思いながら襖を開けると花開院当主と竜二が待っていた。
「おじいちゃん!」
「おお、絵瑠、大きくなったな。」
「そんなことないよ、一昨日会ったばかりでしょ。」
私は歩いてすぐの本家にしょっちゅう出入りして、修行に付き合ってもらっている。
一昨日も竜二にこてんぱんにされかけた。竜二は手加減というものを知らないから困るのだ。
「絵瑠、今日は大事な話があるの。」
と祖母が口を開いた。
「あなた春から本家入りが決まったわ。」
「えっでも柳流は...」
「門下生の中で優秀な者を次の当主に指名します。絵瑠、あなたは本家のために力を尽くしなさい。」
柳流は私が継ぐものだとばかり思っていた。頭が鉛のようにずんと重くなる。
「それと絵瑠、お前にはいずれこの、竜二の嫁に来てもらいたい。」
27代目が付け加えるように言った。
俯いた顔を上げると竜二と目があった。竜二は聞いていたのだろう。いつもの仏頂面で私の顔を眺めていた。
許嫁に決まったことは自分でも不思議なくらい落ち着いて受け入れられた。
竜二の許嫁は絵瑠だろう、と噂されていたのは知っていた。同世代の分家の娘で陰陽師としての力が十分にあるのは私だけだ。
全てを受け入れようと思うと自然に言葉が出た。
「力を尽くせるよう頑張りますのでよろしくお願いいたします。」
畳に手をついて頭を下げる。
竜二は何を思っているのだろうか。12年の付き合いの中で見たことのない神妙な顔をしていた。