2-6 映画に行く話
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土曜日はあいにくの雨だった。
私は午前中、少し大学に用事があり陣平とは夕方に映画館の入っているショッピングモールで待ち合わせることになった。
待ち合わせの場所に着いたが陣平はまだ来ていない。すぐに来るだろう、と本を読みながら待っていたが一向に来ない。
電話も繋がらない、メールも返って来ない。嫌な予感がした。
職場から呼び出されたのだろうか。
何度かけても「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が...」と無慈悲に繰り返すばかりだ。
そのうちに、映画の上映時刻が近づき、映画館のロビーで待つことにした。
土曜日のレイトショーはカップルでごった返していた。話題作のロードショーが重なったらしく発券機は長蛇の列だ。
初々しいカップル、年配の夫婦、私と同じくらいの男女。私の横を幸せそうな人たちが通り過ぎていく。
私は膝の上で携帯を握りしめてじっと待っていた。
映画館の会場を知らせるアナウンスがかかりロビーからはあっという間に人が消えた。
最終の映画の上映が始まるとロビーには私だけが取り残された。
連絡くらいしてよ、何があったの、と怒りや不安や焦りが頭の中で渦巻く。