ロクスメ
mistletoe
クリスマスイブに、殺風景なプトレマイオス艦内に、似つかわしくないものが飾ってあった。
黄緑色の、青々とした葉っぱのようなもの。
刹那・F・セイエイや、アレルヤ・ハプティズムは何かよく分からない、と言った顔をしていた。
ティエリア・アーデは興味無い、とその場から立ち去るが、きっとあれは後で検索してデータ照合する雰囲気だ。
「ったく、お気楽なもの飾ったの誰だよ」
3人のマイスターズが去った後、ロックオン・ストラトスは頭を掻きながら、高い所に飾られたそれに苦笑した。
少年の頃はそれに好きな女の子を重ねてドキドキした事もあった。
弟はちゃっかり彼女を作って居たっけな。
しかし、自分たちはソレスタルビーイングだ。
戦いの中に生きている。
楽しみたい気持ちと、そうすべきではないという気持ちが相反する。
「そんなに気負わなくていいんじゃない?」
ロックオンは背中をぽん、と叩かれる。
振り返って見ると、そこに居たのはプトレマイオスの戦術予報士である、スメラギ・李・ノリエガだった。
「飾ったのはミス・スメラギ、アンタか?」
「まさか。でも明日はクリスマスだし、楽しんでもいいんじゃないかしら。Eセンサーは私が見ておくから」
スメラギは肩をすくめるが、1番に酒を飲んで楽しみたがるこの女がイベントに及び腰とは、どうにも胡散臭い。
スメラギが目を瞬かせるので、飾られた例のものを眺めて居ると、クリスティナ・シエラが辺りを見渡しながら、もじもじとそれの下に立っていた。
クリスティナの反対から現れたのはリヒテンダール・ツェーリ。
「あ、クリスティナ、居た。飯でもどうっすか?」
「な~んだ、リヒティかぁ。う〜ん、優しいけど、好みじゃないのよねぇ~」
ヒラヒラと手を振り、クリスティナは去って行く。
「え?え?えぇぇぇぇ?」
リヒテンダールは上に飾られたものに気付かぬまま、クリスティナの後を追う。
「リヒティ、クリスは手強いわよ。頑張って…!」
スメラギが苦笑しながらリヒテンダールの背中を見送る。
何を見せられているんだ、とロックオンも苦笑する。
「そういえば、ミス・スメラギはミスルトゥの下で」
「やめてやめて、無いったらそんなの」
遮るようにそう言った彼女の目線が郷愁を浮かべたのをロックオンは見逃さなかった。
「ミスルトゥの花言葉は、困難に打ち勝つ。世界がはやく平和になるといいわね」
そう言い残して去ろうとするスメラギの腕を引き、ロックオンは引き止めた。
「どうしたの?」
ロックオンは飾られたミスルトゥ「ヤドリギ」の下にスメラギを引き寄せた。
「楽しんでもいいなら是非お相手をお願いするんだが?」
精一杯おどけてみせるロックオンに、スメラギは小さく吹き出した。
「ふふ、ロックオン、まだクリスマスイブよ?」
暗にクリスマスではないから口付けるな、と予防線を張るスメラギに、ロックオンは時計を見て笑う。
「残念、たった今クリスマスだ」
スメラギの細い腰を抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。
「……もう」
逃げるチャンスを失ったのか、元より逃げるつもりは無かったのか、スメラギは頬を染めロックオンから視線を逸らす。
「覚悟はできたか?」
笑いながら、ロックオンはスメラギと額を合わせる。
「ダメ、って言ってもするんでしょう」
「流石戦術予報士、予測が鋭い」
「それ、戦術予報士は関係ない…」
「もう黙れよ」
尚も口を開こうとする唇を遂にロックオンは自分の唇で塞いだ。
ややあって離れると、気まずそうに頬を染め唇を抑えるスメラギに、ロックオンは心が乱される。
「そんな初心な反応をされるとは思ってなくてだな…」
「初心な年齢じゃなくて悪かったわね」
「違う違う。思ってた以上にその、なんだ…可愛いなって」
半眼でむくれるスメラギが可愛くて、ついロックオンも照れてしまう。
「年上をからかわないで」
「2つしか違わないだろ」
「メリークリスマス!!」
遮るようにスメラギは言い、ロックオンの腕を引き剥がすと、ブリッジへ踵を返した。
「メリークリスマス」
ロックオンは笑いながら、リヒテンダールよろしくスメラギの後を追う。
「なんでついてくるの!」
「俺もこっちに用があってな」
「だめ!ロックオンはデュナメスで待機!」
「俺だけ?」
ブリッジのドアをくぐると、ロックオンは先程飾ってあったものから拝借した枝をスメラギの頭上に掲げた。
「何で持ってきてるのよ…」
「キス、したいから」
もう隠そうともしないロックオンにスメラギは葛藤する。
そして、ため息を吐く。
「……少し、だけだからね」
Eセンサーを気にしながら、スメラギはロックオンの首に腕を絡めた。
クリスマスイブに、殺風景なプトレマイオス艦内に、似つかわしくないものが飾ってあった。
黄緑色の、青々とした葉っぱのようなもの。
刹那・F・セイエイや、アレルヤ・ハプティズムは何かよく分からない、と言った顔をしていた。
ティエリア・アーデは興味無い、とその場から立ち去るが、きっとあれは後で検索してデータ照合する雰囲気だ。
「ったく、お気楽なもの飾ったの誰だよ」
3人のマイスターズが去った後、ロックオン・ストラトスは頭を掻きながら、高い所に飾られたそれに苦笑した。
少年の頃はそれに好きな女の子を重ねてドキドキした事もあった。
弟はちゃっかり彼女を作って居たっけな。
しかし、自分たちはソレスタルビーイングだ。
戦いの中に生きている。
楽しみたい気持ちと、そうすべきではないという気持ちが相反する。
「そんなに気負わなくていいんじゃない?」
ロックオンは背中をぽん、と叩かれる。
振り返って見ると、そこに居たのはプトレマイオスの戦術予報士である、スメラギ・李・ノリエガだった。
「飾ったのはミス・スメラギ、アンタか?」
「まさか。でも明日はクリスマスだし、楽しんでもいいんじゃないかしら。Eセンサーは私が見ておくから」
スメラギは肩をすくめるが、1番に酒を飲んで楽しみたがるこの女がイベントに及び腰とは、どうにも胡散臭い。
スメラギが目を瞬かせるので、飾られた例のものを眺めて居ると、クリスティナ・シエラが辺りを見渡しながら、もじもじとそれの下に立っていた。
クリスティナの反対から現れたのはリヒテンダール・ツェーリ。
「あ、クリスティナ、居た。飯でもどうっすか?」
「な~んだ、リヒティかぁ。う〜ん、優しいけど、好みじゃないのよねぇ~」
ヒラヒラと手を振り、クリスティナは去って行く。
「え?え?えぇぇぇぇ?」
リヒテンダールは上に飾られたものに気付かぬまま、クリスティナの後を追う。
「リヒティ、クリスは手強いわよ。頑張って…!」
スメラギが苦笑しながらリヒテンダールの背中を見送る。
何を見せられているんだ、とロックオンも苦笑する。
「そういえば、ミス・スメラギはミスルトゥの下で」
「やめてやめて、無いったらそんなの」
遮るようにそう言った彼女の目線が郷愁を浮かべたのをロックオンは見逃さなかった。
「ミスルトゥの花言葉は、困難に打ち勝つ。世界がはやく平和になるといいわね」
そう言い残して去ろうとするスメラギの腕を引き、ロックオンは引き止めた。
「どうしたの?」
ロックオンは飾られたミスルトゥ「ヤドリギ」の下にスメラギを引き寄せた。
「楽しんでもいいなら是非お相手をお願いするんだが?」
精一杯おどけてみせるロックオンに、スメラギは小さく吹き出した。
「ふふ、ロックオン、まだクリスマスイブよ?」
暗にクリスマスではないから口付けるな、と予防線を張るスメラギに、ロックオンは時計を見て笑う。
「残念、たった今クリスマスだ」
スメラギの細い腰を抱き寄せて、腕の中に閉じ込める。
「……もう」
逃げるチャンスを失ったのか、元より逃げるつもりは無かったのか、スメラギは頬を染めロックオンから視線を逸らす。
「覚悟はできたか?」
笑いながら、ロックオンはスメラギと額を合わせる。
「ダメ、って言ってもするんでしょう」
「流石戦術予報士、予測が鋭い」
「それ、戦術予報士は関係ない…」
「もう黙れよ」
尚も口を開こうとする唇を遂にロックオンは自分の唇で塞いだ。
ややあって離れると、気まずそうに頬を染め唇を抑えるスメラギに、ロックオンは心が乱される。
「そんな初心な反応をされるとは思ってなくてだな…」
「初心な年齢じゃなくて悪かったわね」
「違う違う。思ってた以上にその、なんだ…可愛いなって」
半眼でむくれるスメラギが可愛くて、ついロックオンも照れてしまう。
「年上をからかわないで」
「2つしか違わないだろ」
「メリークリスマス!!」
遮るようにスメラギは言い、ロックオンの腕を引き剥がすと、ブリッジへ踵を返した。
「メリークリスマス」
ロックオンは笑いながら、リヒテンダールよろしくスメラギの後を追う。
「なんでついてくるの!」
「俺もこっちに用があってな」
「だめ!ロックオンはデュナメスで待機!」
「俺だけ?」
ブリッジのドアをくぐると、ロックオンは先程飾ってあったものから拝借した枝をスメラギの頭上に掲げた。
「何で持ってきてるのよ…」
「キス、したいから」
もう隠そうともしないロックオンにスメラギは葛藤する。
そして、ため息を吐く。
「……少し、だけだからね」
Eセンサーを気にしながら、スメラギはロックオンの首に腕を絡めた。