ロクスメ
Want to be Plum
プトレマイオスのブリッジでは、ひとつのミッションが成功に終わり、クルー全員が安堵の息をついていた。
しかし、スメラギ・李・ノリエガただ一人だけ、表情は依然として硬かった。
戦術予報士として、彼女は次の戦いのプランを見直し、修正し、休息など許されないと思っていた。
「お疲れさん。ミス・スメラギ、ちょっと休んだらどうだ?」
そこに現れたのは、ガンダムデュナメスでプトレマイオスに帰投したロックオン・ストラトスだ。
彼の低く優しい声がブリッジに響く。
ロックオンはヘルメットを手に持ち、軽い笑みを浮かべて彼女に近づいてきた。
「そんな時間はないわ、ロックオン」
口元に微笑を浮かべたスメラギはちらりとロックオンを見るが、すぐに視線をモニターに戻し、キーボードを叩き続ける。
だが、その指先はわずかに震え、疲労の色が隠せない。
ロックオンは眉を寄せ、彼女の肩にそっと手を置いた。
「おいおい、指揮官が倒れたら元も子もないだろ?頼むから、少し力を抜けよ」
彼の声には、いつもの軽快さの中に本物の心配が混じっていた。
スメラギは一瞬言葉を失い、彼を見上げる。
ロックオンのグリーンの瞳は、戦場での鋭さを潜め、彼女を包み込むような温かさを持っていた。
「私は…大丈夫」
困ったように笑ってみせるスメラギに、ロックオンはやれやれ、とため息をつくと、その細い身体を躊躇わずに抱きしめた。
「嘘つくなよ」
ロックオンの突然の行動に、スメラギの体は硬直する。
しかし、パイロットスーツ越しの広い胸板から伝わる温もり、心地良い心臓の鼓動が、スメラギの緊張をゆっくりと解いていく。
「ロックオン…なぁに?突然…」
スメラギは抗議しようとしたが、声は小さく、頬は赤みを帯びていた。
「いいだろ、たまには。俺たちソレスタルビーイングは命懸けで戦ってるんだ。少しぐらい休んでもさ」
ロックオンの腕は力強く、しかし優しく彼女を包み込んでいた。
スメラギは僅かな抵抗をやめ、目を閉じて彼の胸に身を預け、深呼吸を繰り返す。
戦いの重圧、過去の記憶、それらが一瞬だけ遠ざかり、ただ彼の存在だけがそこにあった。
折れそうな気持ちが持ち直せそうだ。
ありがたい。
「…ありがとう、ロックオン」
彼女は小さく呟き、彼の背中にそっと手を回した。
まさかのスメラギの行動に、ロックオンは驚いたように目を瞬かせたが、すぐに柔らかい笑顔に戻る。
「この胸で良ければいつでも、貸出大歓迎だ」
ロックオンの腕に更に力が篭もりかけた瞬間、ブリッジの入り口が開く音がし、甲高い声が響いた。
「きゃーっ!!抱き合ってる!!!な、なな、何!? スメラギさん!?ロックオン!?」
クリスティナ・シエラが、目を丸くして立ち尽くしていた。
彼女の顔は一瞬にして真っ赤に染まり、両手で自分の顔を隠そうとするも、うまく隠せていない。
「ちょっと…2人とも、そんな…!大胆って言うか…!ブリッジで!」
クリスティナはキャアキャアまくし立て、赤面したままだが、指の隙間からしっかりロックオンとスメラギを見ている。
「おっと、邪魔が入っちまったな」
ロックオンはニヤリと笑い、スメラギをそっと離す。
スメラギも気まずそうに髪をかき上げた。
「クリス、誤解よ。ただ…疲れてて」
「だっ!大丈夫!誤解、誤解ね!わかった!口は硬いから!守秘義務は守りますっ!!」
クリスティナは大きく頷きながら、真っ赤な顔でスメラギの言葉を遮ると、逃げるようにブリッジから走り去った。
ロックオンは肩をすくめ、スメラギと目を見合わせる。
「もう、あの子ったら」
スメラギは困った様に笑い、誤解されたらあなたのせいよ、と小さくロックオンの胸を突いた。
すると、ロックオンはいたずらっぽく目を細め、彼女の顔をじっと見つめる。
「な…何?」
スメラギが戸惑う中、ロックオンは低く呟いた。
「誤解? 上等だろ」
彼はスメラギに再び近づき、そっと彼女の顎を指で持ち上げると、躊躇うことなく優しく唇を重ねた。
突然の不意打ちに、スメラギの目は見開かれ、心臓が激しく跳ねる。
柔らかく、しかし確かな感触が唇に重なり、戦場の緊張とは違う熱が一瞬で体を駆け抜けた。
ロックオンはリップ音を立てて離れ、親指でスメラギの下唇を撫でる。
スメラギは呆然としたが、我に返り顔を真っ赤にした。
「ロックオン…! なんっ…!」
何とか声を上げるが、口を開閉しては言葉に出来ず呆然とロックオンを見つめるしか出来なかった。
「あんまり可愛い顔で呆けてるとまたキスするぜ?狙い撃つから、覚悟しとけ?」
思っていたより意識して貰えている反応が返ってきたロックオンは、安堵し、爽やかにウインクを飛ばしてひらひらと手を振りながらブリッジを後にした。
「っ……も、も~~っ!どうしろって言うのよ!」
ブリッジには、しばらく赤面したまま口元を抑えるスメラギだけが残された。
プトレマイオスのブリッジでは、ひとつのミッションが成功に終わり、クルー全員が安堵の息をついていた。
しかし、スメラギ・李・ノリエガただ一人だけ、表情は依然として硬かった。
戦術予報士として、彼女は次の戦いのプランを見直し、修正し、休息など許されないと思っていた。
「お疲れさん。ミス・スメラギ、ちょっと休んだらどうだ?」
そこに現れたのは、ガンダムデュナメスでプトレマイオスに帰投したロックオン・ストラトスだ。
彼の低く優しい声がブリッジに響く。
ロックオンはヘルメットを手に持ち、軽い笑みを浮かべて彼女に近づいてきた。
「そんな時間はないわ、ロックオン」
口元に微笑を浮かべたスメラギはちらりとロックオンを見るが、すぐに視線をモニターに戻し、キーボードを叩き続ける。
だが、その指先はわずかに震え、疲労の色が隠せない。
ロックオンは眉を寄せ、彼女の肩にそっと手を置いた。
「おいおい、指揮官が倒れたら元も子もないだろ?頼むから、少し力を抜けよ」
彼の声には、いつもの軽快さの中に本物の心配が混じっていた。
スメラギは一瞬言葉を失い、彼を見上げる。
ロックオンのグリーンの瞳は、戦場での鋭さを潜め、彼女を包み込むような温かさを持っていた。
「私は…大丈夫」
困ったように笑ってみせるスメラギに、ロックオンはやれやれ、とため息をつくと、その細い身体を躊躇わずに抱きしめた。
「嘘つくなよ」
ロックオンの突然の行動に、スメラギの体は硬直する。
しかし、パイロットスーツ越しの広い胸板から伝わる温もり、心地良い心臓の鼓動が、スメラギの緊張をゆっくりと解いていく。
「ロックオン…なぁに?突然…」
スメラギは抗議しようとしたが、声は小さく、頬は赤みを帯びていた。
「いいだろ、たまには。俺たちソレスタルビーイングは命懸けで戦ってるんだ。少しぐらい休んでもさ」
ロックオンの腕は力強く、しかし優しく彼女を包み込んでいた。
スメラギは僅かな抵抗をやめ、目を閉じて彼の胸に身を預け、深呼吸を繰り返す。
戦いの重圧、過去の記憶、それらが一瞬だけ遠ざかり、ただ彼の存在だけがそこにあった。
折れそうな気持ちが持ち直せそうだ。
ありがたい。
「…ありがとう、ロックオン」
彼女は小さく呟き、彼の背中にそっと手を回した。
まさかのスメラギの行動に、ロックオンは驚いたように目を瞬かせたが、すぐに柔らかい笑顔に戻る。
「この胸で良ければいつでも、貸出大歓迎だ」
ロックオンの腕に更に力が篭もりかけた瞬間、ブリッジの入り口が開く音がし、甲高い声が響いた。
「きゃーっ!!抱き合ってる!!!な、なな、何!? スメラギさん!?ロックオン!?」
クリスティナ・シエラが、目を丸くして立ち尽くしていた。
彼女の顔は一瞬にして真っ赤に染まり、両手で自分の顔を隠そうとするも、うまく隠せていない。
「ちょっと…2人とも、そんな…!大胆って言うか…!ブリッジで!」
クリスティナはキャアキャアまくし立て、赤面したままだが、指の隙間からしっかりロックオンとスメラギを見ている。
「おっと、邪魔が入っちまったな」
ロックオンはニヤリと笑い、スメラギをそっと離す。
スメラギも気まずそうに髪をかき上げた。
「クリス、誤解よ。ただ…疲れてて」
「だっ!大丈夫!誤解、誤解ね!わかった!口は硬いから!守秘義務は守りますっ!!」
クリスティナは大きく頷きながら、真っ赤な顔でスメラギの言葉を遮ると、逃げるようにブリッジから走り去った。
ロックオンは肩をすくめ、スメラギと目を見合わせる。
「もう、あの子ったら」
スメラギは困った様に笑い、誤解されたらあなたのせいよ、と小さくロックオンの胸を突いた。
すると、ロックオンはいたずらっぽく目を細め、彼女の顔をじっと見つめる。
「な…何?」
スメラギが戸惑う中、ロックオンは低く呟いた。
「誤解? 上等だろ」
彼はスメラギに再び近づき、そっと彼女の顎を指で持ち上げると、躊躇うことなく優しく唇を重ねた。
突然の不意打ちに、スメラギの目は見開かれ、心臓が激しく跳ねる。
柔らかく、しかし確かな感触が唇に重なり、戦場の緊張とは違う熱が一瞬で体を駆け抜けた。
ロックオンはリップ音を立てて離れ、親指でスメラギの下唇を撫でる。
スメラギは呆然としたが、我に返り顔を真っ赤にした。
「ロックオン…! なんっ…!」
何とか声を上げるが、口を開閉しては言葉に出来ず呆然とロックオンを見つめるしか出来なかった。
「あんまり可愛い顔で呆けてるとまたキスするぜ?狙い撃つから、覚悟しとけ?」
思っていたより意識して貰えている反応が返ってきたロックオンは、安堵し、爽やかにウインクを飛ばしてひらひらと手を振りながらブリッジを後にした。
「っ……も、も~~っ!どうしろって言うのよ!」
ブリッジには、しばらく赤面したまま口元を抑えるスメラギだけが残された。