隻翼の天使、迷宮に挑む。
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何を言うか この馬鹿者が! 一万が挑んで誰一人 帰ってこなかった迷宮 なぞ、お前に攻略できるはず なかろう!」
『うるせえジジイ、あたしは やるって決めたんだ!
年寄りは大人しく あたしが財宝 担いで帰ってくるのを待ってろ!』
行かせろ、行かせん、と激しい口論が空気を震わせる。
ようやく一時休戦したのは、他の仲間たちが 一体 何事か、と蔵の扉を叩いた時だった。
◇
「...で? シノは迷宮 攻略に行きたがってる、ってことで いいんだな?」
あたしとヴィーゲンリートの一対一だと喧嘩になって一向に進まない、ということで、第三者を数人 間に入れて話は再開した。
『ああ。誰が何と言おうと、絶対 行ってやるかんな!』
「いい加減に せんか!ワシは お前を そんな無鉄砲な阿呆に育てたつもりは ないぞ!」
「おい、シノもヴィーゲンリートも落ち着けって!」
仲裁役がいても なお激しく 鎬を削りながら、あたしたちは互いに睨み合う。
「シノ、迷宮 の恐ろしさは聞いてるだろ?何だって そんな場所に行きたがるんだ?」
『そんなの“巨万の富”に決まってんだろうが』
「でも、盗み でも生計は立ってるだろ?」
『だーかーら!お前ら全員 こんな場所に掃き捨てられて、一生 日の目を見ないで死んでいくってのが納得いかねぇの!』
蔵に、深い沈黙が流れる。自覚がある証拠だ。
あたしはダンッ!とカウンターを叩くと、
『この状況に甘んじて生きてくなんて、あたしは まっぴらごめんだ。誰かが 貧民街のために動かなきゃならねえ。
......それが あたしだって、思わせてくれたっていいだろ』
皆、もう何も言わなかった。
ガタリと椅子を鳴らし、床板を軋ませて蔵から出る。
迷宮 は、何が何でも あたしが攻略してやる。
不吉の象徴のような暗雲に覆われた空を見上げ、あたしは唾を吐き捨てた。
『うるせえジジイ、あたしは やるって決めたんだ!
年寄りは大人しく あたしが財宝 担いで帰ってくるのを待ってろ!』
行かせろ、行かせん、と激しい口論が空気を震わせる。
ようやく一時休戦したのは、他の仲間たちが 一体 何事か、と蔵の扉を叩いた時だった。
◇
「...で? シノは
あたしとヴィーゲンリートの一対一だと喧嘩になって一向に進まない、ということで、第三者を数人 間に入れて話は再開した。
『ああ。誰が何と言おうと、絶対 行ってやるかんな!』
「いい加減に せんか!ワシは お前を そんな無鉄砲な阿呆に育てたつもりは ないぞ!」
「おい、シノもヴィーゲンリートも落ち着けって!」
仲裁役がいても なお激しく 鎬を削りながら、あたしたちは互いに睨み合う。
「シノ、
『そんなの“巨万の富”に決まってんだろうが』
「でも、
『だーかーら!お前ら全員 こんな場所に掃き捨てられて、一生 日の目を見ないで死んでいくってのが納得いかねぇの!』
蔵に、深い沈黙が流れる。自覚がある証拠だ。
あたしはダンッ!とカウンターを叩くと、
『この状況に甘んじて生きてくなんて、あたしは まっぴらごめんだ。誰かが 貧民街のために動かなきゃならねえ。
......それが あたしだって、思わせてくれたっていいだろ』
皆、もう何も言わなかった。
ガタリと椅子を鳴らし、床板を軋ませて蔵から出る。
不吉の象徴のような暗雲に覆われた空を見上げ、あたしは唾を吐き捨てた。