隻翼の天使、迷宮に挑む。
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既に かなり衰えていた走りは、アイツが見えなくなったのを期に完全に止まった。
それでも 追ってきやしないかと心配で、崩れた民家の屋根に登る。
『くそっ、本当に何なんだアイツ......』
どすん、と果物の入った麻袋を隣に下ろし、自分も屋根に腰を下ろす。
汗が乾き始め、体は すっかり冷えていた。
「シノ、そんな場所で何やっとるんじゃ」
気付けば、民家の脇を這う路地からヴィーゲンリートが あたしを見上げていた。
◇
『...んでよ? 警吏でもねぇのにまで貧民街 まで追ってきたんだよ、そいつ』
干からびた林檎を無理やり ぬるい牛乳で流し込み、あたしは蔵のカウンターに肘を突いた。
「珍しいのう、コンタスティアは最早 無法地帯になりつつ あろうに」
『だろ? 今時 埃 被った正義感だけで飯が食えるかっての』
これも全部、この国の腐りきった政治のせいだ。
レームにボコられたら そのまま大人しくしときゃ よかったのに、無駄な意地で“迷宮 ”なんかに手を出すから こうなるんだ。
『領土の次はメンツを懸けて、わざわざ“死の穴”に自分の国民を放り込んでく、ってか。
こんな茶番に、一体 何の意味があるんだろうな』
無能な政治を嘲って笑うと、
「...シノ、知らんのか?」
『何をだよ?』
「ここまで躍起になってパルテビアが迷宮 を攻略せん とする理由じゃ。
ワシも風の噂に聞いただけ じゃがな。
あの中には、“人智を越えた力”と“巨万の富”が眠っておるらしい」
...“巨万の富”は ともかく、その得体の知れねえ“人智を越えた力”ってのがパルテビアの狙いなのか?
『そんな ふにゃふにゃした“力”なんて言葉で言われてもなあ......』
「まあ、レームもパルテビアも その“力”が欲しい故に攻略争いをしとるんじゃ」
...ん?待てよ?
『なあヴィーゲンリート、迷宮 には その“人智を越えた力”の他に、“巨万の富”がある、って言ったよな!?』
「そ、そうじゃが......」
『なら、あたしが迷宮 を攻略して、がっぽり“巨万の富”を手に入れてきて やるよ!』
それでも 追ってきやしないかと心配で、崩れた民家の屋根に登る。
『くそっ、本当に何なんだアイツ......』
どすん、と果物の入った麻袋を隣に下ろし、自分も屋根に腰を下ろす。
汗が乾き始め、体は すっかり冷えていた。
「シノ、そんな場所で何やっとるんじゃ」
気付けば、民家の脇を這う路地からヴィーゲンリートが あたしを見上げていた。
◇
『...んでよ? 警吏でもねぇのにまで
干からびた林檎を無理やり ぬるい牛乳で流し込み、あたしは蔵のカウンターに肘を突いた。
「珍しいのう、コンタスティアは最早 無法地帯になりつつ あろうに」
『だろ? 今時 埃 被った正義感だけで飯が食えるかっての』
これも全部、この国の腐りきった政治のせいだ。
レームにボコられたら そのまま大人しくしときゃ よかったのに、無駄な意地で“
『領土の次はメンツを懸けて、わざわざ“死の穴”に自分の国民を放り込んでく、ってか。
こんな茶番に、一体 何の意味があるんだろうな』
無能な政治を嘲って笑うと、
「...シノ、知らんのか?」
『何をだよ?』
「ここまで躍起になってパルテビアが
ワシも風の噂に聞いただけ じゃがな。
あの中には、“人智を越えた力”と“巨万の富”が眠っておるらしい」
...“巨万の富”は ともかく、その得体の知れねえ“人智を越えた力”ってのがパルテビアの狙いなのか?
『そんな ふにゃふにゃした“力”なんて言葉で言われてもなあ......』
「まあ、レームもパルテビアも その“力”が欲しい故に攻略争いをしとるんじゃ」
...ん?待てよ?
『なあヴィーゲンリート、
「そ、そうじゃが......」
『なら、あたしが