隻翼の天使、迷宮に挑む。
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寂れた港に、リンゴを囓る音が響いた。
『...クソマズっ』
この日照り のせいだろう、リンゴは ぼそぼそ で味がしない。
けど、貴重な今日の食糧だから芯まで残さず食う。
『さて、そろそろ潮時かな』
遠く霞む道に馬車が見えたのを頃合いに、あたしは腰を上げた。
◇
ここはパルテビア領コンタスティア港。
昔は国内でも屈指の貿易港として栄えた らしいけど、今じゃ通る馬車は皆 せかせかと落ち着きなく この港を抜けていく。
...その理由を、あたしは知ってる。
すぐ眼下まで馬車が迫ったのを確認すると共に、それまで座っていた建物の屋根から身を投げ出す。
そして、落下の勢い そのまま馬車の天蓋にナイフをガッ!と突き刺した。
「キャーッ!!」
中に乗っているのは女なのか、すぐに悲鳴が響く。
ナイフを足でさらに押し込めば、いとも容易く天蓋は砕け、荷台に光が差した。
天蓋に開けた穴から するりと侵入し中の様子を見回す。
乗っているのは、御者の老いぼれが一人と毛並みの良さそうな母娘 、それから護衛らしい なかなかのガタイをした男だ。
『...ちっ』
顔をしかめた あたしの頬を、男の拳が掠めた。
あたしは一応 近接戦闘はできるけど、腕前は明らかに相手が上。
なら、どうする?
『おっと、動いたら この お嬢さんの首が吹っ飛ぶぜ』
隅で震えていた女 二人のうち、
娘らしい方の首筋にナイフを突き付ける。
護衛の対象が人質に取られたと あっては、さしもの男も構えを解いた。
...ここまで できて、やっと準備完了。今回は時間かかったな......
『さあ、馬車 停めて金目の物 全部 寄越しな!』
コンタスティアを通る馬車が、一秒でも早く港を抜けようとする理由。
それは、
......盗賊 が いるからだ。
『...クソマズっ』
この日照り のせいだろう、リンゴは ぼそぼそ で味がしない。
けど、貴重な今日の食糧だから芯まで残さず食う。
『さて、そろそろ潮時かな』
遠く霞む道に馬車が見えたのを頃合いに、あたしは腰を上げた。
◇
ここはパルテビア領コンタスティア港。
昔は国内でも屈指の貿易港として栄えた らしいけど、今じゃ通る馬車は皆 せかせかと落ち着きなく この港を抜けていく。
...その理由を、あたしは知ってる。
すぐ眼下まで馬車が迫ったのを確認すると共に、それまで座っていた建物の屋根から身を投げ出す。
そして、落下の勢い そのまま馬車の天蓋にナイフをガッ!と突き刺した。
「キャーッ!!」
中に乗っているのは女なのか、すぐに悲鳴が響く。
ナイフを足でさらに押し込めば、いとも容易く天蓋は砕け、荷台に光が差した。
天蓋に開けた穴から するりと侵入し中の様子を見回す。
乗っているのは、御者の老いぼれが一人と毛並みの良さそうな
『...ちっ』
顔をしかめた あたしの頬を、男の拳が掠めた。
あたしは一応 近接戦闘はできるけど、腕前は明らかに相手が上。
なら、どうする?
『おっと、動いたら この お嬢さんの首が吹っ飛ぶぜ』
隅で震えていた女 二人のうち、
娘らしい方の首筋にナイフを突き付ける。
護衛の対象が人質に取られたと あっては、さしもの男も構えを解いた。
...ここまで できて、やっと準備完了。今回は時間かかったな......
『さあ、馬車 停めて金目の物 全部 寄越しな!』
コンタスティアを通る馬車が、一秒でも早く港を抜けようとする理由。
それは、
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