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第一章『馬一族』

それから時が経ち、時代は『赤壁の戦い
』にて、曹操軍が大敗を期したところまで進行する。

ここまで来るといよいよ『三国世界』は佳境となり、英傑の星はどんどん沈んでいくというのに、
“あの時”のようなあからさまな霊害や『疫鬼』の気配もなく、あまりにも静かすぎる時代が流れていた。
これにはさすがに“于禁”も己の使命を疑ったが、投入を許可した淳于越は、確かにこう言ったのだ。

『疫鬼は、疫鬼レイコウが没したのを期にまた動き始めている。おそらく同じ時代に現れ、一気に根絶されることを恐れたのだろう。それに、『キミ』にはまだ力が足りない。『キミ』の使命が果たされるまでに、どうか疫鬼と闘い、疫鬼を学んでくれ』

だから、今回もまたわざわざ“投入”されただけの、『前世』の禍根が遺っているものだと思っていたのだが。
​──これでは、本当に代役を担っただけではないか。

はあ、とため息を零した場所は与えられた静かな居室で。
せめて『疫鬼』の居場所を絞ろうと、情報収集も兼ねて『この世界』に遺された軌跡や前世の歴史についてを探し続けてはいるものの、“我が国”でそのような情報は一切見つからなかった。
そんな時だった。

『漢中を攻めよ』

その進言に応じて、戦線は『記録上』の『潼関の戦い』に突入する。
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