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開幕『前世の記録』

濮陽山中、『疫鬼の門』付近。

淳于越の要請によりふたたび起動した『疫鬼』 ー今は『宇襟文則』と記した方がわかり易いだろうー は、二度目の三国世界へと現界した。

「…やれやれ。また『彼ら』の器を借りちまったな。」

『疫鬼』は今回、前回参加した時のようなフェイクではなく“于禁”そのものとして登録されている。無論、肉体は于圭に借りて、だ。
なんでも“不参加の世界線”を一つ挟んだ今でも『屍体のまま疫鬼と必要以上に融合した』于禁の魂を修復するのには時間を要するらしく、
「彼は疫鬼との適合性がかなり高く、精神体の親元は確保できてるから問題ないのだけど、肉体に戻すには魂が汚染されすぎていて浄化に時間を要する」のだと淳于越が頭をかかえていた。
それでも、あの時の『記憶』……『魂の経験値』を維持できるならば最善を尽くしてほしいという『第四十五次覇者』……息子の于圭の願いを聞くままに、こうして『代役』として二度目の融合を果たした。
どうも自分は『疫鬼』の中でも影響力の少ない『特別製』らしく、この器(于圭)の父の現状と違って感染しても浄化の必要が無い潜伏性のおかげで『運営側』から見ても自由度が高い。

要するに自分は『疫鬼』を殺すために用意された『疫鬼』……『掃除屋』というところだ。

「一応、ここに来たのは『監査役』だってことは『記録者』に伝わってるとは思うが……とりあえず、『いつもの』に挨拶回りにいかねぇとな」

“于禁”はひとまず自身の身を固める為に、『黄巾討伐』に参加する鮑信のもとへと赴いた。
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