”■■■■が目をさますと、地上では大きな戦争がおこっていました。

争っていたのはそれぞれの神をかかげるふたつの勢力です。

ひとつは、■■■■がつくった世界をさばきの光でほろぼした神を自称する不届き者。世界であまねく信仰されるそのものは、イノセンスとよばれる兵器を民に与え、戦争へとかりだしました。

ひとつは、ほろぼされた世界のやり直しを望んで■■■■の領分に手をだした不届き者。ノアとよばれるそのものたちは、死んでいった民の魂でもって、世界をおかす兵器を生みだしました。

■■■■は不届き者たちと、戦争にかりだされた民たちに問いかけます。
『なにをもって、この劇を終幕とするか　きさまたちの望みはなにか』

彼らはそろって答えます。
『この戦争の終結を』

終結の末に求めるものは三様にちがいました。
ひとつは、絶対的な信仰を
ひとつは、かつての栄華を
そしてひとつは、ひたすらの平和を

■■■■は困ります。それらすべてを一様に叶えるにはあまりに血が流れすぎていました。のこされた手段は、世界をあらたに作り直すこと。それならばどの願いも叶わずにすみます。

それではあまりに憐れだと、やさしき魔女は考えました。彼らにももう一度の機会をあたえてやろう。
『なれば再演を。2000年の後に再び問おう。世界の作り直しを望むのか否か』

こうしてふたつの不届き者による大戦争に、魔女という新たな勢力が加わりました。魔女歴0年、世界再演の日です”


『やさしい魔女歴の本(1999)』から引用