第四話「おかえりを君に」
[必読]概要、名前変換
・概要「亡霊に名前を呼ばれた日」から約2000年後の物語
ジャンル:転生/やりなおしモノ。神田落ハピエン確定(リナ→神田片思いからのアレリナ着地を含みます)
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黒の教団の船着き場、五名のエクソシストを待ち構える二つの影があった。一人は室長たるコムイ・リー、一人は純の兄なるもの麻倉愁であった。
「と、言うわけでね 彼女には悪いことをしてしまったよ…」
「まあ想定内ではある …早く帰って来ねえかな」
先ほどクロス元帥を引きずって戻ってきたばかりの愁にコムイがこれまでの状況を話していた。彼らの付き合いももう八年になる。愁は教団にやってきてから、わずか数夜で実権を握り神田とアルマを本部につれてきた。それからというものコムイを気に入ったのか何かにつけて協力しており、彼を室長の地位まで押し上げた立役者の一人に数えられる。最初は裏があるのではと勘繰っていたコムイだったが、その目的が妹である純にあると知って打ち解けていた。今では立派なシスコン仲間である。
水音がして、船が近づいてきた。乗っているのは五人のエクソシスト。最初に降りたリナリーがコムイに駆け寄った。
「ただいま、兄さん!」
「おかえり、リナリー 怪我はないかい?」
「平気だよ」
「ただいま戻りました」
「ただいまー」
「アレンくんも、ラビもおかえり お疲れ様」
「三人ともお疲れ」
愁は簡単に三人を労うと足早に船へと近寄る。降りたばかりの純が帰還の挨拶を述べる彼らの様子をじっと見つめていた。
「…遅かったな、兄貴 ただいま」
「ああ おかえり、ユウ」
先に船から降りていた神田が愁に声をかけ横に並ぶ。そこに純がおずおずと近づいてきた。
「…待たせたな、ひいさま」
「いいよ、兄さん」
ひいさま、と申し訳無さそうに眉を下げる愁の顔は兄というよりは従者に見えた。その顔も純が兄さんと呼ぶだけで、兄らしく戻る。彼女は何か言いたいことがあるようで、兄の顔をじっと見つめて口を開いた。
「あのね、兄さん…」
「ん?どうした、純」
「ただいま」
「っ… ああ、おかえり よく戻った」
はにかみながら紡がれた言葉に愁は息を詰まらせる。その手が優しく妹を抱きしめて頭を撫でた。その光景に、神田はあの日言えなかった言葉をようやく口にする。
「おかえり、純」
第四話「おかえりを君に」 つづく
(兄さん、くるしい)
(悪い悪い… ほら、ユウも来い)
(…ちっ)
(二人共、頑張ったな 偉いぞ)
愁の手が二人の頭をポンポンと叩いて抱き寄せる。名前で呼ばれた神田が抵抗すること無く従っている珍しい光景だった。