LastEP 「亡霊に名前を呼ばれた日」
[必読]概要、名前変換
・概要原作沿い:本編開始前~神田ユウ教団帰還まで
ジャンル:悲恋、一部嫌われ要素あり
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【麻倉純の日記】
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目が覚めた時、アレでも終わることができなかったのだと酷く絶望しました。お医者様の話によると、これから時間をかけて私の記憶は失われていくようです。首に埋め込まれたイノセンスの侵食がついに脳にまで達したのだと。そのイノセンスももう何処にもありません。首を締め付けていたはずの青白い光は無くなって、なにもない虚空だけが残りました。お医者様がせめてもの慰みにと日記を書くようにとおっしゃったので、これから日記をつけてゆきます。もう消える私のことなど残してもしょうがないけれど、文字を書くのは気が紛れます。あの洞窟で報告書を書いていた日々に戻ったみたいです。
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ルベリエ長官殿がいらっしゃって、教団の現状を聞かせてくださいました。眠っている間にいろいろなことが起きたみたいです。クロス元帥は亡くなられて、神田ももう居ない。教団からノアが生まれて。だからこそ、私を遊ばせておく理由がないとおっしゃいます。もうイノセンスは何処にもないのに。
追記:イノセンスは形を変えて存在していたみたいです。教団襲撃の時にイノセンスは私の頭を抱えるようにして守ってくれたのだと。目覚めた時に首から離れて、今は保管されているそうです。これは装備型イノセンスの進化例だと考えられているようで、リナリーちゃんがすでに該当しているとのことです。
追々記:イノセンスを持ってきたルベリエ長官殿は「君の覚悟ができてからで構わない」と言い残していきました。酷い嘘つきです。今すぐにでも飲み干せと思っているでしょうに。それとも、記憶を失った私のほうが都合がいいのでしょうか。飲み干すかどうかは後々決めることにします。
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どんどんと、今の私で居られる時間が短くなっているように感じます。気がついたら知らない場所に立っていたり、いきなり時間が飛んだように感じることがあります。お医者さまに相談しても、解決方法が見当たらないとおっしゃっていました。記憶のない間の私の様子を伺うと、今の私よりもしっかりもので真面目なようです。口調があまりに違うみたい。どんな感じなのでしょうか。彼女は「私は麻倉純の亡霊だ」と名乗ったそうです。亡霊に亡霊が居るだなんて、おかしな話です。
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残された時間はもう少ないです。もうじき私は消えてしまいます。少し喜んでいる私が居ます。記憶をなくしてしまえば、本当に終われるから。私はわたしの亡霊にすべてを押し付けてでもここを逃げ出したいのです。
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亡霊から返信があったのは初めてです。亡霊はイノセンスを飲み干す気が無いみたいです。彼女は彼女で勝手に逃げるから、私も好きにしたら良いって。…したいことは何でしょうか。終わるのも逃げるのも、ただ待っているだけで事が済みます。そう考えて思い浮かぶのは彼の顔でした。私、もう一度で良いから彼と話がしたい。でも、それは叶わない願いです。だから、言いたいことを手紙にしておくことにします。どうかこの日記を読む人が居たら、彼に手紙を…
いいえ、叶わないことは願いません。どうかすぐにでも火に焚べてください。よろしくお願いします。