私はあなたに恋をする
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「ルークが呼んでますよ」
「ん?……ああ」
室内からガイー?と何度も兄様を呼ぶ声。兄様の幼なじみで元復讐の標的。主人と従者で親友。たまに兄弟みたいに見える。
「ちょっと行ってくる」
そう笑顔を残して兄様は部屋へと戻っていった。二人が楽しそうに話す姿は私より兄弟らしい。実の妹より彼との方が長く一緒にいて、しかも教育係をしていたのならルークにとって兄様は兄的存在。
「ーーい…」
「羨ましいですか?」
いいなぁ……と自然と口から言葉が零れそうになって思わず飲み込めば頭上から私の心を代弁した声がした。憎たらしい、と言わんばかりに私より頭一個分以上背の高い彼を睨むように見上げる。
「……別に」
本当は羨ましい。十五年振りに再会をしたときはわんわんと兄様の胸で泣いた。けどその再会は束の間で兄様は世界の危機を救うためにすぐに旅に出てしまった。旅が終わりグランコクマに戻った兄様。私もメイドを辞めて陛下の用意してくれた屋敷で一緒に住み始めた。十五年ぶりの生活はなんかぎこちないものでようやく慣れてきたなと思ったら兄様はまた旅に出てしまった。
「私は羨ましいですよ」
「はい?」
ガイ兄様とルークが仲がいいのが羨ましいって、この人。そっちの気がある人だったの?この年で独身なのはそれが理由?
「失礼なことを考えないで下さい」
「す、すみません」
人の考えなんてお見通し。まあ、言葉的にそう取られてもおかしくはない流れだと思うけど。
「私が羨ましいのはあたなはガイが唯一触れられる相手、だからですよ」
彼の言葉に上手く返答できずに目だけをぱちぱちとさせる。何が何だって?
「人の想い人になら触れられるのは妬けますよ」
確かにガイ兄様は女性恐怖症。理由も聞いている。けど、えっと……その意味は?人の想い人って……まさか?
「全てが終わったら迎えに来ますから覚悟しておいて下さい。なまえ」
そっと私の唇に彼はそれを落として部屋へと戻って行った。私は顔を赤くしてへたり込んで、その唇に手を置いた。
私はあなたに恋をする(触れた唇は熱を持つ)