両手いっぱいの花束を
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「覚えててくれたんだ」
「ええ」
こんないっぱいの花を用意してくれるなんて。よく見れば窓の外、庭の方に目を向ければ一面に咲き誇っていた。
「気に入っていただけましたか?」
「うん、ジェイドがこんなもてなししてくれるなんて……すごく嬉しい」
覚えていてくれて気にいるかと聞いてくれるって事は私のために用意してくれたって事。嬉しくないわけがない。でも、どうしてこんな事してくれるんだろう。それを聞きたくて彼の顔を見上げればジェイドも私を見ていた。ドキッと高鳴る胸、何かを期待してしまいそうに動悸が激しくなる。
「ここで、一緒に暮らしませんか?」
「えっ?それ、プロポーズ?」
まさか、まさかの発言に驚くだけ。言い雰囲気かなって思いはするけどプロポーズまでされるなんて思いはしないし。目をパチパチさせる私に彼はそうですねぇなんて含みのある言い方で返す。何よ!人に期待させるような言動しておいて!ぽかぽかとジェイドを両手で軽く叩けばその手は簡単に掴まれてしまう。
「色々順番は違いますが、どうですか?」
「どうって……」
いきなり言われても、困る。両親は大喜びするだろうけど。好きか嫌いかだけで問われたら好きの部類だよ。美少年は見事に美青年になってましっておいしい展開だし。
「じゃ……『同棲』じゃなくて『同居』生活からで?」
「疑問系ですか?」
だって!い、いきなりは無理だよ!いくら気心しれた幼なじみってももう二十年も離ればなれだったんだよ!?そういう急に物事言い出すところは変わってない。
「そういう始まりもいいでしょう?」
物言わせぬような笑顔見せないでよ。何も言い返せないじゃない。
「ふつつか者ですがよろしくお願いします」
「こちらこそ」
これが私とジェイドの二十年振りの再会。この日から私はこの家に住み込み半年もしないうちに籍を入れた。嫁行かずにいた私だけに両親は大喜び。始まりはとんでもなかった。けど私は忘れることはないだろう、あの……
両手いっぱいの花束を
(売れ残ってみるもんだね)(……返答に困ります)