両手いっぱいの花束を
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「でもどうしたの急に?旅券なんて送ってきて」
お陰様で引きこもり娘を追い出せて清々したって両親は笑顔だったけどね……なんて肩を竦めればあなたの両親も相変わらずですね。あらあら、口調まで変わってるや。
「色々ひと段落したところで急に会いたくなったものですから」
「へ?私に?」
にっこり。そんな効果音が聞こえてきそうなくらい綺麗な微笑みを見せる彼にまるで初めて会う人に言われたかのように顔に熱を帯びてくる。だってだって、私の知ってるジェイドは絶対にネビリム先生以外にこんな笑みを見ることはない。しかも会いたいなんて死んでも言わないと思ってた。
「な、なんで?もう、二十年くらい……会ってなかったのに」
そうだよ。二十年も会ってなかったのに、会ってなかったのに急に会いたくなったって。おかしいよ。目の前にいるのは私の知ってるジェイドじゃないみたい。
「そうですね……きっとこの二年間が、あの少年がそうさせたのかもしれません」
「少年?」
それからゆっくりとジェイドは二年にも及ぶ旅の話をしてくれた。各地で起こった崩落や戦争のこと。その事の経緯を話してくれ。途中でソファーへと移動し、彼が煎れてくれた紅茶を頂く。この事、本当のことを知る人は極僅かだとジェイドは話す。その話し方からとかして確かに変わったと思えた。話の中心に出てくる少年、ルークという少年の成長を見守っているうちに自分も変わった。ジェイドは……ネビリム先生の事も整理をつけ眠らせてあげることを決めたと言う。
「長くなってしまいましたね」
「ううん…ジェイドのこと聞けて嬉しいよ」
ジェイドがいなくなってすぐにサフィールもいなくなってしまった。そんなもの寂しさを感じる中、ピオニーとネフリーは許されない……とは思いたくないが結ばれることのない恋を実らせていた。
「月日って、すごいね」
もう子供じゃない。日中ずっと一緒にいた頃ではもうないんだ。みんなそれぞれの道を進んでるのに私だけ何も先が見えなくて取り残されてる気がして胸の真ん中にぽっかりと穴が空いたみたいな感じがしてそれを寂しく辛く思えてきた。
私の未来は何処を向いているんだろう。