両手いっぱいの花束を
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「ジェイド?」
「久しぶりですね」
ドアの前に立っていたのは記憶の中の少年が更に綺麗に大人になっていた。短かった髪も背中まで伸びていて、背も全然高くなっている。ただ違うのは、笑い方。以前の周りなどどうでもいいように無表情で、笑っても小さく少し嫌みじみた笑いだったのに。今は、すごく柔らかくなっていた。
「ガイもご苦労様でした」
「いいさ。ジェイドからのこういう頼みってのは初めてだけどな」
手の中の書類を机に置く。ガイに労いの言葉。それすらも昔からじゃ考えられない。
「まさかジェイドにこんな美人の幼なじみがいたとは思わなかったけどな」
「ええ?私、美人じゃないよ!」
あんたたち三人のほうが美形じゃない。同じ部屋にこんないい男が三人もいるなんて三十年以上生きてて初めてだもの。
「お世辞が上手いんだから」
「本当のことを言っているだけなんだが……」
こんな若い子に美人って言われたら悪い気分はしない。寧ろ嬉しい。オバサンをからかわないの!と恥ずかしさを隠すように強めに言えば、ガイは思ったことを言ったと頭の後ろを掻く。
「そろそろいいですか?ガイ、陛下をお願いします。先ほど参謀長官殿が探してましたので」
「やっぱり……陛下。戻りますよ」
「嫌だ。まだなまえと話をしていない!こら!ガイラルディア!!」
少し機嫌が悪くなったのかさっきまで浮かべていた笑みは消えていた。ガイもその雰囲気に気づいたのか頷いて、ジェイドの執務机の椅子に座っていたピオニーの首根っこを掴んで部屋から出ていった。いいんだ。皇帝陛下の扱いがアレで。
「さて」
ピオニーの断末魔にも似た悲鳴が聞こえなくなるとジェイドはまたさっきの笑みを浮かべていた。なんだったんだろう?
「待たせましたね」
「まあ、目の保養と遠くの幼なじみに会うことも出来たし」
目の保養?とケテルブルクにいたときにはけして見られなかった目を丸くするジェイド。更にカッコ良くなった幼なじみを可愛いとか思ってしまう。クスクスと笑いが堪えきれなくなり、美男子を三人も一度に見れたんだもの。と返せば、そうですか。ちょっと苦笑混じりに呟くジェイド。