両手いっぱいの花束を
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「そう、ですけど」
「ジェイドの使いであなたを迎えに来ました、ガイと言います」
本名は長いのでガイと呼んで下さいとにっこりと笑う。年甲斐もなく照れてしまいそうだ。だってこんな美青年がオバサンな私に笑いかけてくれるだから。
「えっ…ジェイドから?」
ガイの口から出たのは手紙を寄越した主の名前。私の幼なじみの名前だ。どういう繋がりかはわからない。ジェイドとはかなり年が離れてるから友達とも思えないし、軍服を着てないところを見れば彼は軍人ではないだろう。貴族、なのかな。ジェイドも養子とは言え一応は貴族だし、ガイの身のこなしから言ってもそっちの線のほうで間違いないかな。
「ネフリーさんから手紙をもらってるんですが、当のジェイドは軍議で迎えにこれないから私が代わりに来ました」
「はあ、それはどうも」
さすがネフリー。連絡してお置いてくれたんだ。慌ただしくケテルブルクを出て行ったからネフリーのほうから手紙出してくれたんだ。しっかり者の幼なじみを持って助かった……途方に暮れ寸前だったもんね。
「それでどこに向かうの?」
「ジェイドの執務室ですよ」
そこで待っていてくれとのことだったから。と爽やかな笑顔で振り返るこの青年は天然なのか。誰にでもその笑顔を見せるのかな?もう少し若かったらちょっと騙されそうかも。
「なまえさんはグランコクマは初めてで?」
「ええ、ケテルブルクから出たことがないの」
旅行に行く趣味もないから出ることもない。生まれ育った街だから別になんの不自由もない。親や友達からも欲がないとか言われる。
「けど、彼にあなたみたいな若い人の知り合いがいたとは思わなかったわ」
「そうですか?ケテルブルクには何度か訪れてるんですけどね」
二年近くも一緒に旅をしていた。その時にケテルブルクに訪れたと。一時期、軍人が騒いでいたのはそれか。ネフリーからも死んだと言われていたジェイドが生きて戻ってきたと後で聞いたけどまさか旅の途中だったとは。しかも何度もとは、私ってばどれだけ我関せずな性格しているんだろう。
「…そっか」
これだけの年月が経つと全く知らない人になっちゃったな。昔は小生意気な棘だらけの少年だったけどね。う、ん……そう言えば会うのってそれ以来だ。すごく緊張してきたぞ。