ケンカするほど、ね?
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「バイバイ……ユーリ」
背を向けたまま手を振る。ちょうどいいことにあたしの手荷物はここにある。このままさよなら出来る。ユーリ以外、別れを告げなくてすむ。
「待て!」
「きゃっ!?」
腕を掴まれ引かれる。勢いのまま抵抗も出来ずにいれば地面へと倒れ込む。地面は草花がある所だから痛くはないけど突然のことで思わず瞑ってしまった目をゆっくりと開く。
「へっ?」
目の前にはユーリの顔。長い黒い髪があたしの頬を擽る。
「やっと見たな」
「み、見たなって……ユーリが勝手に……」
何だか恥ずかしい……見慣れた顔なのに恥ずかしい。上から見下ろされているから……って!この体勢ってヤバくない?
だって……押し倒されてる状態じゃん!
「どいてよ!」
「無理」
押し退けようにも片腕はユーリに掴まれたまま。空いている手だけじゃ男であるユーリを退かすことは出来ない……
「こっち見ろよ」
すごく真剣な声。じっとユーリに顔を向ければ今まで見たことがないくらい真剣な表情を浮かべていた。言葉が出ない……なんで?なんでそんな顔するの?
「あたしは…間違ってない……」
「けどオレが嫌なんだよ。お前が怪我するのが」
再度言う言葉にユーリは否定はしない。けど肯定もしない。ただ……あたしが怪我をするのが嫌だという。
「ど、して…?」
聞いちゃいけない。けど聞きたい。ユーリが何を思っているのか。どうして怒るのか、どうしてあたしを引き止めるのか、どうしてそんな事を言うのか……聞きたい。
「当たり前だ。好きな女に庇われて怪我されたなんてこと、カッコ悪いだろ?」
……今、何て言った?
聞き間違い?だって、ねぇ……好きって、あたしのこと?え、え、ええっ!?
「あ、え……ゆ、ユーリ…?」
「オレはお前が好きだ」
だからオレを庇って怪我なんかして欲しくないんだよ……そう言ってまだ熱を持った右頬を撫でる。悪かったな……少し泣きそうに顔を歪めてあたしの頬を優しく撫でる。叩いたことを気にしていたらしい。
ああ、何だ。分かっちゃったよ。ずっともやもやしてたんだ。ユーリに叩かれて怒鳴られて……悔しくて悲しくて。それが何でなのか分からなくて……それが余計に苦しくて。
でも、分かった。
「……責任、取ってよね?」
右頬に添えられたユーリの手の上にあたしの手を置いて微笑んで言えばユーリは一瞬キョトンとしたものにっ、と笑い「喜んで、お嬢さん」……そっとあたしの唇に自身のそれを落とした。</font>
ケンカするほど、ね?
(せっかくだからこのまま美味しく頂いちまうぜ?)(ちょっ!?ここ何処だと思ってんのよ!)