ちいさな日溜まり
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「誰かいますか?」
消えかけた意識の中に聞き慣れた声が聞こえた。けど幻聴だ。聞こえるわけがない。うちで留守番してるし、あの小さな姿で現れるわけがない。こんな姿を見せれないのに期待してまう。
「誰か……っ!?」
もう一度聞こえて声はやっぱりジェイドの声。その声に「ああん?」と親方が顔を向ける。
「誰だ、てめぇ?勝手に入ってくるな」
あ、れ?ジェイドの姿を見て驚かないの……小さなあの姿を見て驚かないなんて。私が不思議に思っているとふわっといい香りがしてそっと上半身を起こされる。だれ?いつもは誰も助けてくれないのに。
「なまえ#。大丈夫ですか?」
「じぇ、い、ど…?」
ああ、この香りはジェイドの香水だ。なら、抱き起こしてくれたのはジェイド?あんな小さいのに力持ちなんだね……あれれ、でも肩に感じる温もりは確かにちゃんと誰かのもの。ブレる視界をしっかりと凝らす。
「ジェイ、ド…なの?」
亜麻色の長い髪に赤い瞳は見間違うことなくジェイドのものなのに見えるその顔はあの可愛らしいものではなく綺麗な男の人だった。
「忘れたお弁当を届けに来たのですか……」
「変な、とこ…見せちゃったね」
怒られているだけならともかく虐待にも似た暴行されている所は見られたくなかった。ジェイドと出会ってからここまで怒られることはなかったから、傷だらけの体を見られることはなかったのに。
「なまえ……これが初めてではありませんね?」
「だったらどうなんだ?」
ジェイドの問いに答えたのは私ではなく親方。側にはこの光景を眺めていた他の従業員たち。
「こんな所に彼女をいさせられませんね。帰りますよ」
「ちょっ、ジェイド!?」
膝裏にも手を入れそのまま抱き上げられる。急な浮遊感と言葉に驚き、彼に振り返る。
「帰りますよ」
にっこりと綺麗な笑みを浮かべるジェイドに思わず顔が熱くなる。まさか大きくなってこんなカッコイい男の人になるとは思わないもん。と言うより大きくなれたんだ。
「勝手なことされると困るんだよ」
「ソイツはいい憂さ晴らし相手なんだからな」
そういう意味で私がいなくなると困る親方たちは去ろうとするジェイドの前に回る。