月光花
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「そんなものはいらない。今の生活で十分」
けして楽ではない。正直、生活をするだけで精一杯だもの。この瓶を買う余裕なんて本当はなかった。でも何だか買わなきゃいけない気がした。それがこれだったなんて。
「何かの力を借りて叶う願いは……いらない」
「困りましたね。私はあなたの願いを叶えなければ帰ることが出来ません」
ポケットに手を入れてはぁと溜息を吐くジェイド。そうは言われても私も困る。誰かに頼んで叶えて貰うような願いなんてないし。
「なら、あなたが元の場所?に帰れるように願うよ」
これならどう?と問えばジェイドは首を横に振る。何で?更にそう返すとジェイドは困った表情のまま私に顔を向ける。
「それは私のため願いであってあなたの願いではありません。それでは駄目なのです」
……確かに。帰れないと困るジェイドを帰してあげるための願い事。彼のためであって私のためではない。
「……じゃあ」
何も思いつかないよりはいい。両親が死んでからはずっとそうだった。だからこんな小さな願いを聞いて欲しい。
「私と一緒にお茶をしてくれない?」
「お茶……ですか?」
お客様からいい茶葉を頂いたの。一人では味気ないから付き合って欲しい。そうお願いする。私と一夜限りのお茶会をしてくれませんか?もう一度そうお願いする。ジェイドははぁ…と息を吐きながら瞬きをする。ダメ……なのかな?
「構いませんよ。ですがこれは『願い』というよりは『おねだり』ですね」
くすりと笑った。おねだり……そうなのかな?結局は願い事な気もするんだけど。小さすぎる願いは彼の中では『おねだり』なんだきっと。したらどうしようかな。けど一緒にお茶をしてくれるなら。