月光花
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「何でこんな物を買ったんだろう」
ベッドの上に座り込み窓の縁に肘を着き、目の前に置いた翡翠色の瓶を見つめる。この瓶は仕事帰りに立ち寄った市場で買った。何か惹かれて買わなくちゃいけないと何故か思ってなけなしのお金を叩いて買ってしまった。翡翠色といっても汚れているせいでくすんでしまっているけど。
「磨いたら綺麗になるかな」
したら逆に売れるかも。元値になってくれれば一番いいけど、少しでも返ってくればまぁましだよね。キュッキュッキュッと布で綺麗に磨いていく。くすんだ翡翠色は段々と元の色を露わにしていく。汚れが完璧に落ちればこの部屋には似つかわしくない見た目は高そうな瓶に変身した。
「わぁ…」
磨けば光とはよく言ったもんだね。ボロボロで小汚かった瓶が布で磨いただけでこんなに綺麗に変わっちゃうんだ。
「あ、こうしたらもっと綺麗」
瓶を空に浮かぶ月と重ねて見る。満月の光と翡翠色の瓶。翡翠の中に浮かぶ月。それは幻想的に見えて目を離すことが出来ない。
「……綺麗」
それは本当に綺麗だった。さっきまでの瓶のようにくすんでいた私の心もその月明かりとともに照らしてくれたかのよう。
「あれ?」
月の光で光っていたのかと思ったら少しずつだけど瓶自体が光り始めた。ぽっぽっと小さかった光が次第に大きくなって最後には瓶全体を覆い始めた。そしてーー
「きゃっ!」
爆発したかのように弾ける光。目を開けてられなくて両腕で顔を覆う。何で瓶が急に光りだしたんだろう……そうは思うもの光が目に入って痛くて開けてられない。
「何なの……」
うっすらと目を開けてもさっきの光のせいで目の前がチカチカする。