Love at first sight
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「おや?信用してませんねぇ」
「一目惚れされるような美人じゃないよ!?」
些か寂しそうに言うジェイドをちょっと可愛いと思ったのはさて置き、その言葉の意味がまだよく分からない。
「ネフリーの結婚式の時に十数年振りに再会しましたよね?」
「うん……ジェイド、カーティスの家に養子に行ってから一度も帰ってないし」
手紙は年に一回か二回あった。ただの近況報告みたいな内容で向こうでの暮らしぶりとかそういった内容は書かれてなくて、これじゃあ報告書だとネフリーと苦笑いを浮かべた記憶がある。
「花嫁衣装を着たネフリーの隣で凛とした表情で立っていたなまえ、あなたに目を奪われました」
最初はそれがなまえだとは気付きませんでしたが、と。幼い頃、ジェイドがケテルブルクにいた頃の私は髪も短かったし、男の子っぽかった。成長するに連れて髪も伸ばし、服装も中身も自然と変わっていった。それは常にネフリーだけが側にいるようになったからで。
「その瞬間、あなたが欲しいと思ったのですよ」「欲しいって!また、ストレートに……」
ハッキリとした物言いは変わらないけど、口説き文句みたいな言い方はどこで覚えたのか。それには呆れていれば、あなたにしか言いませんよ。と当然でしょ?って感じで返される。
「まぁ……嬉しいけど」
好きな人にそう言わせる事なんて簡単には出来ない。というよりは普通の人なら恥ずかしがって言ってくれない。私の身近でどストレートに言えるのはジェイドとピオニーくらいだろう。サフィールは論外として。
「私も不思議に思ってたのですが」
「何が?」
少し顔に熱が帯びてきて手で扇いでいると、ジェイドは体を前のめりにして私の顔を覗き込んでくる。何か興味ありげに何か企んでるように彼独特の笑みを浮かべて。
「あなたがどうして私と結婚してくれたかです」「……自分でプロポーズしておいて?」
呆れた。五年も経って今更聞くことだろうか。嫌いだったら私の性格上、たとえ噂の絶えない幼なじみとはいえ結婚などしない。
「あなたから"好き"と言う言葉を聞いたことがない」
「それ、私もないんだけど……」
言われてみれば……と二人で顔を見合わせる。結婚して下さい。いいよ。のやり取りだけ。好きだの愛してるだのって言葉にしたことはない。
「もちろん私はなまえを愛してますよ」
こういうセリフも臆面もなく言って退けてしまうのがジェイド。好き、愛してる……心の中では何度叫んだだろう。幼なじみだと思うと恥ずかしくて言えないでいたのに。いとも簡単に言い切ったジェイドはあなたは?ともう聞く準備万端。
「す、好きよ」
「それだけですか?」
もうそんな意地悪を言わないで。小声で言えばジェイドは私の頬を両手で包み「教えて下さい」と耳元で囁く。それだけで頭はクラクラする。彼の声はまるで麻薬のよう。
「愛してる……私も、一目惚れだったんだもの」
促されるように、ジェイドの赤い瞳を見つめたまま告白する。私から返事はしても告白なんてしたことなかったな。
「十数年越しでの、一目惚れだったの……」
今の私の顔はものすごく真っ赤なはず。体まで熱なくなってきた。本当に本当だから。感情のない少年時代しか知らなかったけど、大人になったあなたは一目で私の心を釘付けにしたんだもの。
「……本当ですか?」
私の告白にジェイドは一瞬、目を見開いて驚いたけどすぐに微笑みを浮かべる。優しい……幼かった頃には見られなかった優しい微笑み。
「本当よ」
私も微笑み返せば、どちらともなく目を閉じ口づけを交わす。触れる程度の口づけを数回交わして互いの想いを確認しあった。
あなたは私の心を奪った。
(そろそろ子供が欲しくありませんか?)(えっ?……うん、欲しい)