偶然がくれた恋だった
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彼が"ここ"に来てもう一週間。彼は何の遠慮なく私の家で暮らしている。突然、私が寝ている上に落ちてきたのは亜麻色の長い髪と赤い目の男性。正直、顔と声は凄くいい…それだけにこの性格なのが質が悪い。
「いつまでここにいるんですか?」
「いつまで…と言われても、戻る方法が分からないことには何とも」
この世界の住人ではないという彼、ジェイドはそう言って肩を竦める。違う世界なんて本や映画の中だけで、空想の世界なんだと思ってた。でもジェイドは日本語はおろか、英語や他の国の言葉を話すことも読むことは出来なかった。それ以前に彼の書く字を私は読めないし、私の目の前に現れたときの彼の服装も見たことのない物だった。
「こんな事ってあるんですね」
「何がですか?」
壁により掛かって本を読むジェイドをテーブルに頬杖をついて眺めてれば彼は本から私に視線を向ける。ジェイドは凄く頭がいい…たった一週間で日本語の読み書きをほぼ完璧に覚えてしまったから。
「えっと、違う世界が存在するとか。一番驚いたのは物覚えの良さですけど」
これは本当に驚かされたもん。だってたった一週間だよ?誰だって驚くよ。
「私はなまえに感謝してますよ」
「私に?感謝?」
パタンと本を閉じてにっこりと微笑む。ちょっ、その顔で笑わないでよ。顔は良いんだから。
「偶然だとしてもあなたに出会わなければ、この知らない世界で右往左往していたはずですからね」
まぁ、いきなり警察呼んだり追い出したりせずに話を聞いた末、元の世界に戻れるまでうちに住んでいいと許可をした。普通なら一人暮らしの女の部屋に見も知らずの男を泊めるなんてしないけど…でも放っておくことも出来なくて「困ったときはお互い様だ」って泊めちゃったんだよね。
「料理がもう少し上手でしたらよかったのですが」
「うるさいです」
余計な一言が多いのが難点なんだよね。これに関してもぐうの音も出ない…だって、ジェイドの作る料理の方が美味しいんだもん。悔しいけど。
「そう言えば」
「はい?」
一度立ち上がってジェイドの側で腰を下ろす。彼の顔を覗き込むとジェイドは少し体を引く。あれ?嫌われてるのかな?でもジェイドみたいなタイプって嫌いな人とは少しでもいっしょにいなさそうなんだよね。