白銀の世界で奏でよう
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「あなたは私が怖くないのですか?私は…」
「怖くないです」
声音を低くして何かを言おうとしたジェイドの言葉をなまえでは遮った。やはり、真っ直ぐに見つめながら。
「(なぜ…そんなに真っ直ぐなのですか?)」
なまえは眉根を寄せるジェイドの目の前まで歩み寄って来る。そのまま彼の右手を取り両手で包み込んだ。
「なまえ?」
「怖くないですよ。私が一番怖いのは自分が存在しないこと、嫌われること」
そう言ったなまえの表情にジェイドは目を見張った。それこそ、今まで旅をしていて見たことのない表情だったから。なまえは今にも泣きそうな顔をしていたのだ。いつの笑みを絶やさない少女が始めて見せた『感情』に、今までにない何かが心に膨れ上がるのを感じる。
「私…誰かに嫌われるのが一番怖いんです」
顔を見られたくないのか、ジェイドに抱きついてその胸に顔を埋める。何かを察したジェイドはいつものように引き剥がそうとはせずなまえの頭を優しく撫でる。
「私は…要らないって言われたことがあって。それが辛くて苦しくて…でも、この世界に来てジェイドさんやみんなに出会って…何も出来ない私を必要としてくれて……」
抱きついたままなまえは話し初め、途中まで話してすんっと鼻を鳴らす。泣いている…この子は泣いている。初めてじゃないか?――ジェイドはそう思い眉根を寄せた。
「それが嬉しくて…でもいつ”お前なんか要らない”って言われるかもって思うと――」
ジェイドの胸から離れて上げたなまえの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。