隣り合わせの距離
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「ご、ごめんなさい!」
さっさと立ち去ろう。その方がいい、この人を巻き込んではいけない。
「なぜ謝るのですか?理解できません」
「いや、話しかけちゃって…いや、なんていうか…」
本当に何て言ったらいいんだろう。普通話しかけたくらいで謝る必要はない。
「私に関わると…みんな不幸になるから…」
あははは、と渇いた笑いしか出ない。超高校級のクラスメート達なら大して被害は及ばないけど、予備学科の、普通の生徒なら私のソレの被害に遭ってしまう。
「なぜ不幸になるのですか?」
ようやくこちらを向いた彼の赤い瞳が私を貫く。な、なんだろう…この人、普通の人と違う。けど、クラスメートである超高校級才能を持つ彼らとも違う。目が離さない。
「わ、私の事知らないの!?超高校級の不運のなまえを!予備学科の生徒だって知ってるのに…」
そう。ある意味、私は学園一有名人なのかもしれない。関わったら不幸になる、と。そんな物でも才能は才能だからと希望ヶ峰学園に入学が許された。普通の学校なんて入れない。私からすれば幸運なのかもしれないけど、それも不運だった。だって、他のみんなの才能は輝かしくて私の才能がどんなに汚れているか目の当たりにしてしまったから。なのに…
「知りません。興味ありませんから」
と彼はきっぱりと言った。でもその言葉に妙にストンと私の中に落ちた。興味がないと言われたのに。確かに私もこんな目立つ風貌の彼を知らない。予備学科に興味がないから。
「あなたの名前を教えて」
今初めて興味を持った。こんな人初めてだから。あらゆる才能の持ち主達を見ても妬み嫉みしか持たなかったのに。特に幸運の持ち主には殺意すら覚えた。
「……カムクライズル」
自分の名前すら興味なさげに言う彼。カムクライズル、カムクライズル、どこかで聞いた…いや、聞いたどころではない。
「あ、あのカムクライズル?超高校級の希望…の?」
でもなんで予備学科の制服を?それすら彼は興味がないのかな。驚きのあまり思わずベンチから立ち上がってしまった。それくらい、驚かされた。だって学園七不思議の一つなんだもん。何度か瞬きを繰り返していると、表現し難い大きか音が背後からした。ゾクッと背中に悪寒が走った瞬間、それは起こった。