君が僕の希望だ
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「なんて言うかね…」
仮想世界の教室に入ってきた創を見たときは驚いた。だって彼は普通の人なのになんでここにいるのかと。けどみんなは創を同じ人種だと信じていたから私からは何も言わなかった。なぜか創自身もその記憶がなかったけど。後にわかったのは創は自ら実験体になって擬似的な超高校級の希望になった事。
「これからの事を考えてた」
創は自らを信じ、カムクライズルの希望の力だけを引き出して、絶望しかけた私たちを希望へと導いてくれた。なのに、私に迷うというか不安が生じる。今後、このまま絶望しないで希望を抱いて生きていけるのか。
「不安なのか?」
返事はしない。それは肯定の証だとわかっていても。ぐっと奥歯を噛むとほぼ同時に左手に自分のものではない温もりを感じた。びっくりして隣を見ると、微笑んだ創がいた。創が、私の手を握ったのだ。反射的に離そうとしたけど、創が握る力を強めたからそれは出来なかった。
「案外馬鹿だよな、お前って」
「ば、馬鹿って何よ!人が真剣に考えてるの!」
あんな事があって全てを前向きになんて考えられない。私はそんなに強くない。強くないんだよ。
「胡蝶は一人じゃないだろ?俺や一緒に目覚めれ奴らだっている」
まっすぐ見つめられた目は真剣で、自信に満ち溢れている。私には持っていないもの。
「俺だって一人だったら不安に押し潰されてた。けど、みんなや胡蝶がいたからここまで来れたんだ」
絶望には屈せず、これからの未来の為に、と。そこまで言うと創は一度私から視線を逸らす。急にそんな事をされてまたちょっと不安が増す。
「俺は…」
握られた左手を引かれる。予想だにしていなかった事に私は小さく悲鳴を上げて、引かれた方へと倒れる。ぼふっと何かにぶつかって顔を上げると金に近い茶色の双眸と合う。こんな近くで創と目が合うのはいつ以来か。驚いて再び離れようとしたけど、その前に創の左手が私の右腕を掴む。離れた視線は私へと戻っていて、近すぎる距離に顔に体に熱が宿る。
「いつか眠ったままの連中の目も覚まさせてやって、もう一回修学旅行をやり直したい」
それには、と私の手を握っていた右手を私の左頬に置く。