君が僕の希望だ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ずっと幼馴染だと思ってた…
「……どうしようかな」
港から離れていく船を眺めながら呟いてみる。この呟きは波にかき消されたように、誰の耳にも届かない。少し前に港を出発したのは私たちを助けてくれた苗木くん達が乗った船。絶望へと落ちた私たちを仮想世界へと意識だけを送り込んで、みんなとの楽しい高校三年間の記憶を新たに書き込もうとしてくれていた。私たちを絶望へと誘った江ノ島盾子のアルターエゴに邪魔をされて、仮想世界で生き残った私たち以外はまだ眠ったまま。それでも、生きている。
「生きてるんだよね」
仮想世界でも一度は絶望に落ちかけた。でも、私たちは今、こうして目覚めて生きている。過去の記憶を持ったまま。絶望の記憶を持ったまま。今度は希望を抱いて。なんだけど、私はみんなほど希望を抱けずにいた。世界は絶望の残党によって未だ平和とはかけ離れているという。そんな世界で生きていけるのか、一度は絶望した私たちを世界は受け入れてくれるのかって不安仕方ない。
「胡蝶!こんな所にいたのか!?」
名を呼ばれて、声の方へと振り返れば少しばかり肩で息した創がいた。私の顔を見て、ホッとしたように息を吐いた。
「創こそ、苗木くん達見送りに行ってたんじゃないの?」
行ったさ、と返事をしながらゆっくりと砂浜へと降りてくる創。さっき船が出たばかりなのに、と思ったけど時間は結構立っていたらしい。私の見る位置が悪かっただけかな。
「見送りにも来ないし、何処にもいないから捜したぞ」
ちょっと呆れたような表情をされた。結構広いこの島を捜してくれてたんだ、少し感動した。
「なんだか急に海が見たくなってね」
クスッと笑いながら言ったけどあまり信じてくれてはいないみたいだ。海を見たくなったのは嘘じゃないんだけどな。この砂浜は修学旅行のスタート地点。まだ何が何だかわからないままだけど、せっかく海があるんだし泳いじゃえ!ってはしゃいだ最初の場所。スタート地点に戻って少し考えたかった。
「それだけじゃないだろ?何年幼馴染やってると思ってるんだ」
お前の考えなんてお見通しだ、と言わんばかりの顔をする。確かに落ち込んだときとか真っ先に気付くのは創んなんだけど。そんなにわかりやすいかな。