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ボクの中ではもう違うんだ
「誠って響子ちゃんの事好きでしょ?」
幼なじみに唐突に言われた言葉。飲んでいたコーヒーをぶっ!と噴き出すと汚いと怒られた。
「な、何言ってるんだよ、いきなり!」
ボクは目の前に座る幼なじみのなまえは、だって~と学級日誌を書きながら言う。何がだってなんだろう。
「誠ってよく響子ちゃんと一緒にいるじゃない」
「別に霧切さんに限ったことじゃないじゃん」
なまえは本当に何が言いたいのだろう。恋愛話なんて今まで一度だってしたことがないのに。脈絡がなさ過ぎる。
「それともやっぱさやかちゃん?アイドルかぁ…高嶺の花だね」
「だから、別にボクは…」
二人のことは何とも思ってない。友達だよって言おうとしてもなまえは聞こうともしなかった。鼻歌を歌いながら日誌を書き続けている。自分勝手だ。相手がボクだからだろうけど。彼女のこういう所は今に始まった事じゃない。
「あっ!」
ペンを走らせていた手を止めて、急に大声を上げる。何事かと思えば、わなわな手を震わせながらボクを見る。
「ま、まさか……十神くんとか言わないよね!?」
「そんな訳ないだろッ!!」
さすがにボクは怒鳴った。何でボクと十神クンが……いや、風の噂で聞いたことはあるけど。それを聞いた十神クンがしばらくの間、ボクを見るような目で見てたっけ。必死に誤解を解いたけど。
「従順な下僕って言うのも聞いてるけど?」
「なんでそんな噂ばかり広がってるかなぁ」
ボクは十神クンとは普通に仲のいい友人だと思ってるんだけどなぁ。いや、仲がいいと思ってるのはボクだけかもしれないけど。うーん、と考え出すなまえを見てボクはそっと息を吐いた。彼女は全く気付いていない。ボクが誰を好きなのかを。気付かれたくないって思いもあるから複雑なのだが、他の子とを応援されると正直気分は良くない。
「なまえこそ……好きな人とかいないの?」
学園内でもそれなりに人気にある彼女。幼なじみとして鼻が高い反面、人気があってモテるなまえにやきもきすることがある。誰かに取られないかとか、誰が好きなのかと、ボクとは違う世界の人間だとかどうしも卑屈になってしまう。