出会いは物語のように
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
こんな事って本当にあるんだね
「――~」
耳の付けているイヤホンから聞こえる音楽に小さな鼻歌を歌いながら歩く。流れている曲は我が学園でも有名な軽音部のもの。噂ではそろそろ解散との噂を聞いたな。
「……本屋、か」
ふと目に入った本屋。最近、本を買ってないな。前はよく買っていたのだけど。よし、何か暇潰しになるものがないか探してみようかな、と店内へと入る。
「えーっと」
どれにしようかなぁ。そうだ、確か少し前に新刊が出たんだよね。あの時はお小遣いが出る前だったから買えなかったんだ。それを買っていこう。彼女の話はすごく感情移入ができて面白いんだよね。とても同級生が書いてるとは思えない。
「どーこーだー?お、あった!」
新刊コーナーには無かったその本は残念なことに棚の一番上の段にあった。けして背の高くない私にはかなりの試練だ。脚立でもないかと探してみるけどない。店員も見当たらない。ならば自力で取るしかないのか。
「こんのっ!」
精一杯つま先立ちをする。だけど背表紙に軽く指が触れる程度で到底本が取れるような状況ではない。
「こんな高いところに置かないでよっ!ていっ!」
本棚に手を突いて唸りながら手を伸ばす。もうこれ以上、手も足も伸びないよ!と心の中で悪態を吐く。すると、隣からにゅっと手が伸び、私が取ろうとしていた本を取った。取られた!と思って隣を見ると、それは同い年くらいの男の子だった。制服をきっちりと着込んで赤い釣り目はかなり印象的だった。
「これを取りたかったのだろう?」
そう言って彼はその本を私へと差し出す。状況を理解できなくて、私は彼と本を交互に見る。彼が何を言っているのかわからない。あ、イヤホンしてるからか。
「あのー」
「その本を取りたかったのだろう?」
聞き返したにも関わらず嫌な顔をしないいい人だ。それによく見れば彼も私と同じ学園の生徒だ。通ってるくせにあまり学園に興味がないから彼がどんな超高校級の生徒か知らないや。
「えっと……ありがとう」
とりあえずお礼を言って本を受け取る。よく見かけによらないと言われるのだけど、私は結構人見知りする方だ。同じ学園の生徒とわかっても、正直なところどう接していいのかわからない。
「君も希望ヶ峰学園の生徒か。僕は石丸清多夏。超高校級の風紀委員だ!」
私も同じ学園だとわかると彼は自己紹介をし始めた。風紀委員……そんな生徒もいたかもしれない。よく覚えてないけど。