虹色に輝く橋
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「そ、そう。えっと…わ、私、散歩に行ってくる!」
そう言って逃げ出すように宿を飛び出した。
――胸が痛い…。
――胸が苦しい…。
全力で走っているせいなのか、別の何かなのか分からない。ただ、何か辛かった。視線を逸らされたこと。素っ気ない態度。普段とはまるで違う、ジェイドに不安を感じてしまう。
「…苦しいよぅ」
何も考えずに宿から走って、ようやく立ち止まった先は街の外れ。人一人いない。目の前の木に寄りかかって膝を抱えて座り込む。
「怖い…」
何年も傭兵を生業にし、幾つもの死線もかいくぐってきたなまえに久々に訪れた恐怖。
それは『死』とは別のもの…何が怖いのかが分からないことの恐怖。
「私のままって何?分かんない…」
その呟きに返事はない。涙が出そうになる。
「(私ってこんなに弱かったっけ?)」
出そうになる涙を堪え、自問自答してしまう。どれくらいそうしていたか分からない。ただ、誰かの気配が近づいてくるのは分かる。でも、なまえは膝に顔を埋めたまま上げない。そんな気が起きなかった。
「…いつまでそうしているのですか?」
溜め息混じりに聞こえた声に、ビクッと肩を震わせた。何せ、自分をこんな状態に追い込んだ張本人だから。
「なまえ」
一向に顔を上げようとしないなまえにジェイドは片膝をついて、彼女の肩に手を置く。
「―ぃやっ!」
パシッと肩に置かれた手を弾く。
「―っ!?」
手を弾いた際に、ようやく上げたなまえの顔を見てジェイドは目を見開いて驚いた。