一人は嫌なの、傍にいて
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「あっ、そうだ」
急に声を上げた私に、誠はキョトンとする。先程までの真剣な顔はどこに行ったと思うほど。
「無事でよかった。おかえり、誠」
まだ言ってなかった。無事生還したというのに出迎える言葉を何一つ言ってなかった。
「え、あ、うん。ただいま、なまえ」
いつもの笑顔で返してくれる。それが何だか嬉しくてまた涙が出てきた。泣き出した私を見て、誠はギョッとしたけど、涙は止まらない。
「なまえ?」
「……誠……誠まで、いなくなっちゃったって……思ったから」
無事でいてくれて嬉しいけど、いなくなったと思ってたのを思い出したら怖くなった。あれほど絶望を感じたことはない。
「なまえを置いて何処も行かないよ。この中で唯一の身内なんだから」
もしかしたら世界で。モノクマに見せられたらDVDに映っていた家族や家はボロボロになっていた。もしかしたらと言うのが二人に過ぎった。だから従兄弟である誠だけが唯一の身内で私の存在を証明してくれる人物だ。
「もう、何処も行っちゃわない?」
「いかないよ」
またどっか行っちゃって消えちゃいそうで怖くて、思わず誠に抱きつく。そうしたら誠も抱きしめ返してくれた。ちゃんと温もりを感じられるとすごく安心する。
「なまえはボクが守るから」
「うん……一人はもう嫌」
あんな怖いと思ったことはない。もう一人にはなりたくない。存在を確かめるかのように、二度と離さないように力強く抱きしめる。誠はそれに返すように、大丈夫だよって背中をリズムよく叩いてくれる。
「誠が死んだら、私も死んじゃうから」
きっと耐えられない。悲しくて辛くて怖くて、私は一人じゃ立っていられない。
「死なないよ。なまえが死んじゃうのは困るからね」
ゆっくり体を離されたと思ったら目の前に誠の顔があった。そっと私の唇に誠のそれが触れる。離れた誠の顔を見たら、少しだけ顔を赤くして微笑んでいた。
「なまえは大事な女の子だから死なせないよ」
さっきまでの格好良さは何処に行ったというくらい照れが入っていた。この方が誠らしい。それが一番安心できて、うんって小さく頷いた。
君がいないと生きていけない
(とりあえずお風呂に入ろうよ)(……そうだね)