一人は嫌なの、傍にいて
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「落ち着いた」
子供みたいにわんわん泣く私の頭をずっと撫でていてくれた。ブラウスの袖で目元を少し乱暴に拭う。いつ以来だろう、こんなに泣いたのは。
「でも……誠、どうやって助かったの?」
「霧切さんが助けてくれたんだ」
事の経緯を話してくれる。落とされた後、何とか脱出できないかと出口を探してたらしい。けど見つからなくて、体力温存のために寝ようとしたら、響子さんが上から降ってきたと。どんな扉も開けられる万能鍵を持っていて、それを使って脱出してきたと。
「だから誠、臭うんだね」
「えっと、ゴメン」
汚れているのもそのせいみたいだ。最初は気付かなかったけど、落ち着くとその臭いは結構した。
「それで……これからまた裁判をするんだ」
「裁判?何の?」
急に真面目な顔をする誠。聞けば戦刃むくろ殺しとこの学園の謎を解明すること。モノクマを響子さんと二人で言いくるめて、勝負に持ち込んだらしい。
「また無茶をしたね」
まさかたった一晩でこんな展開にまで持ち込んでしまうとは。誰よりも普通な人間だった彼とは思えない行動だ。ここに来てから変わった……というより成長した。
「この学園から出られる最後のチャンスだからね」
今まで見たこともない表情でそう言った。何だか私の知ってる誠じゃないみたい。裁判の時も、響子さんや十神くんと一緒に真相を突き止めて行ってた。それが誠を成長させたんだ。何だか寂しいな。いつも隣にいたはずなのに、いつの間にか先を行っちゃってる。
「……出れるかな」
ぼそりと呟く。黒幕は、私たちが真相に辿り着いても着かなくても外には出してくれない気がしてならない。最後の、と聞けばもうこんなことしなくていいと思えるけど、やっぱり怖い。
「大丈夫!絶対に外に出してあげるから!」
私の両肩をしっかりと掴む。その自信は何処から来るんだろう。正直私は怖くて仕方ないのに。このコロシアイ学園生活で何が誠をここまで変えたんだろう。仲間の死を乗り越えたから?私はただ怖くて仕方ないのに。
「なまえも一緒に頑張ろう」
「……うん」
根拠も何もないけど、ないんだけど大丈夫な気がしてきた。誠の人より少し前向きな性格が移ったのかな?さっきまであんなに絶望しかけてたのに。