これは幸運か絶望か
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「したら狛枝が痛いじゃん!」
いくらストーカーっぽい所があったり超高校級大好きな狛枝とはいえ、痛いものは痛い。しかも私なんか庇って。
「うん。ちゃんと不幸をもたらしたから幸福ももたらされたよ」
はい?何を言ってるのコイツ?何処をどう見たら本が当たった不幸の代わりの幸運がやってきたというのだろうか。
「なまえさんを抱き締められるなんてなんて幸運なんだ。ボクなんてゴミ虫以下の存在なのに」
と嬉々として表情で言った。私を抱き締める……その言葉で冷めかけていた熱がまた復活した。だ、だって男の子に抱き締められた事なんてないし、すっぽり腕の中に収まっちゃうし……は違う!そ、そんな事が幸運なんて言うの?
「割に合わなくない?」
「そんなことないよ!嬉しくて仕方ないくらいだ!」
何故そこまで喜べる。狛枝にとって超高校級の生徒に接せられる事が幸運なんだから仕方ないか。なんか、残念?
「さっき……名前で呼んだよね?」
「え?」
ふと思い出す。本が降ってくる寸前、狛枝が私を下の名で呼んだのを。
「……えっと」
さすがにマズいと思ったのかたじろぐ狛枝。じぃーと見てると視線を逸らす。何だか新鮮だ。だから、コツっと軽く狛枝の頭を小突く。
「それでチャラにしてあげる」
ぷいっと顔を逸らす。正直なところ、さっきの一連の出来事を思い出すと恥ずかしいのは私だ。だって、狛枝もちゃんと男の子だったんだなぁとか思うと、今まで少し違って見えるし。別に変な意味じゃないけど。
「狛枝に怪我、させちゃったし……お詫びに、名前で呼ぶくらいは許してあげる」
私、さっきからお礼も言ってない。なのに偉そうにしてる。でもなんか言えなくて。
「キミはなんて素晴らしい人なんだ!ボクみたいなゴミ虫に名前で呼んでいい許可をくれるなんて!」
よ、喜んでる。なんだろう。喜ぶ程の事じゃないのにそんなに喜ばれると調子が狂うじゃない。
「今回は特別だよ」
喜ぶ狛枝が面白くて私まで嬉しくなって笑顔がこぼれる。この関係がもっと特別になるのはもう少し先の話。
これは幸運か絶望か
(限りなく絶望に近い幸運)