これは幸運か絶望か
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限りなく絶望に近い幸運かもしれない
「やぁ、なまえさん」
私はこの男が嫌いだ。何を考えているのかわからないから。あと発言が変態臭くてたまに寒気がする。超高校級の幸運のくせに幸運を得るためには不幸がついて回るという。不幸っても本人がそう思わないと不幸にはならないだろう。そんなことはどうでもいい。
「何か用?用がないならどいて欲しいんだけど」
「はははっ。つれないなぁ。ボクはなまえさんに会えただけで幸運なのに」
ならさっさとどっか行けと言ってやりたい。常識ってのが通じないからこの男は厄介なんだ。
「でもボクなんかがなまえさんに話しかけるなんて烏滸がましいよね」
だからそう思うならどっか行け。言っても簡単にはいなくなってはくれないんだろうけど。どうしたらコイツは話をちゃんと聞いてくれるのだろうか。今度、日向にでも相談してみよう。
「とりあえず、用がないなら私はもう行くけど」
特別用事がある訳じゃない。ただ今日、補習を受けている七海ちゃんを待ってるだけ。授業中、全力で寝ちゃうんだもん。ある意味凄いよね。
「なまえさんはこれから何処に行くの?帰る……訳じゃないよね。鞄を持ってないし」
何て目敏いんだ。確かに今は鞄を持っていない。いくら暇つぶしに図書室に行こうとしたからって、鞄を持たずに来たのはマズかったか。コイツにとって、私に出会ったことは幸運なんだろうけど、私にとっては不幸以外なにものでもない。
「……図書室」
嘘を言ってもよかったんだけど、狛枝には嘘は通用しない。通用した試しがない。根拠らしい根拠を言わないこともあるけど、結果的に言い当てる。
「ならボクも一緒に行くよ」
もう行くって決定事項なんだ。こう言うときほど、超高校級に生まれたことを恨む。予備学科の生徒とかこの学園の生徒じゃなければきっと出会うことはなかった筈。この男なら私との出会いも、自分の才能だと言うのだろう。同じ幸運なら後輩のこの方が良かったよ。前に見たとき可愛らしかったから。
「好きにすれば」
駄目だと言ったってついてくれるんだ。なら、図書室まで一緒にいて、そこからは無視すればいい。いくら狛枝でも図書室で大声とか上げないだろうし。