愛しのご主人様
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「ふへ?」
目の前に広がるのは見覚えのあるスーツとワイシャツ。私が洗濯してアイロンも掛けるのだから見間違うわけがない。体中に感じる温もり。夢じゃない。ってことは私……抱きしめられてる?
「びゃびゃ白夜様!?」
どうして?なんで?白夜様に抱きしめられる理由がわからない。で、でも本当にどうして。
「俺から離れることなど許さん」
耳元で囁かれるように言われた言葉に目を見開く。あれだけ邪険にしてた人が言うセリフには思えない。
「な、んで……」
あれだけ厳酷な態度を取っていた人とは思えない。それにこれはメイドである私にする態度でもない。そこでようやく自分の立場を思い出す。次期当主からとはいえ、こんな風に触れていいわけがない。だから離れようとするけど思いの外、強く抱きしめられていてそれも出来ない。
「白夜さ……」
「お前が好きだ」
……はい?今、なんて。私が好き?誰が?いや、白夜様しかいない。あの白夜様が私を好き。
「ええぇぇぇーっ!?」
「大声を出すな」
そいつは無理な相談だ。だって思いもしなかったもん。嫌われてない、とは少し前までは思ってた。それが好きって。嫌いではない、じゃなくて好きって……白夜様が絶対に言わなさそうな言葉。それを口にしたのだから、冗談ではないはず。
「わ、私……ふぇぇ」
最近の態度からだと想像できない。だから少しは私の有り難みを改めて理解して貰いたくてあんな事言ったのに。それがこんな結果をもたらすなんて。
「なまえ。お前が嫌がっても俺はお前を手放す気はない」
「い、嫌だなんてそんな!」
あるわけない。超高校級と呼ばれる前から色んな人間に仕えてきたけど彼以上の主はいなかった。仕えられて誇りに思えるほど。ふと、頭に過ぎる。私は本当に仕えられて誇りに思ってたのか。思ってはいた。それだけじゃない……?
「手放すつもりはないが、お前の答えを聞かせろ」
私の答え。私の答えって、最初から決まっていたのではないか?だから彼の態度に対してこんな事をしたのではないのか。押して駄目なら引いてみろみたいな事を。
「私の答えは決まっています」
この人に仕えようと心に決めたときから、答えは決まっていた。だって白夜様は――
愛しのご主人様
((私は一生あなたのものです))