愛しのご主人様
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……今、何て言った」
こんな彼を見たのは初めて見たかもしれない。明らかに動揺が見える。
「なまえ!」
答えない私に苛ついたのか怒鳴る。こんな事言われたのは初めてなのだろう。自分からはあっても向こうからはないだろうし。
「この場を持って白夜様の専属を解約させていただきます」
私の仕返しは白夜様のメイドを辞めること。本当に辞める訳じゃない。少しの間だけ休暇を貰うだけ。これは現当主である白夜様のお父上に許可を貰って言ったことだ。昨日あの後、すぐに御当主に連絡を取り休暇を申し出て許可を貰った。白夜様には私から言うと言って。三日ほど休暇で姿を消すことをワザと解約と言ったのだ。
「後任もすぐに参りますので」
それでは失礼しますと踵を返す。白夜様の動揺する姿が見れただけで私は満足だ。これで私の心も晴れると言うものだ。互いに持っていただろう想いを踏みにじったのは彼だ。三日後に実は休暇でしたーと帰って来たときの顔も見物だろう。けどその前に他のメイドや執事から私は休暇だと聞かされるだろうから激怒されるかな。
「待て!」
数歩歩いたところで腕を掴まれる。後方に引っ張られるものだから転びそうにもなったが。
「誰がそんな事を許可した!?」
「御当主様です」
確かに白夜様のメイドだけど契約書の印は御当主にもらったもの。白夜様の一言で辞めさせられることもあるけど、こちらから辞める場合は御当主から許可を得なければ辞められない。そう言えば白夜様はぐっと黙る。
「詳しいことは御当主へお願いします」
まあ御当主に聞けば、休暇だと言われるだけだろうけど。こんな事したのだから本当にクビになる覚悟はしておかなきゃ。メイドとしての職場は探せば世界中いくらでもあるし。
「俺は許可した覚えはない!」
相当イライラしている。私の腕を掴む手の力もかなり籠もっている。痛いのだけどそれを表情には出せない。
「私では白夜様のお世話は出来ません」
これは本音だ。何をやっても認められない。前は誉めてくれたのに。他の使用人は誉めないけど私のことは誉めてくれるからそれが嬉しくて献身的に尽くしたというのに。
「お世話になりました」
腕を捕まれたまま深々と頭を下げる。けど次の瞬間、腕を一気に引かれて視界も一転する。