愛しのご主人様
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ちょっとしたイタズラ心だったのに…
「何度言えばわかるんだ。この無能が」
私のご主人様は完璧主義者だ。本人が完璧人間だから周りもそうなのが当たり前。当然、仕える私もそうでなくてはならない。とは言え、私は完璧すぎるほど完璧に仕事をこなしている。なのに何かしらのケチがつけられる。
「おい、聞いているのか」
「聞いていますよ、白夜様」
私の仕えるご主人様は十神白夜。十神財閥の御曹司。その名の通り超高校級の御曹司としてあの希望ヶ峰学園に在籍している。眉目秀麗でプライドが高くて我が儘なご主人様。何をやらせても完璧で、数いた十神の後継者たちを全員蹴散らして次期当主の地位も手に入れた。
「ただいま入れ直して参ります」
私だってこれでも超高校級なのに。超高校級のメイドとして一応、希望ヶ峰学園に通っている。この十神家から。住み込みで働いているから当然なんだけど。
「……最近、度が増してきたなぁ」
前はこうじゃなかった。ちゃんと笑いかけてくれた。他の人みたいに嫌われてない、むしろって思ってた。最近は何をやっても一度でOKはでなくて難癖を付けられる。私にも超高校級のプライドがあるから完璧にこなしてる筈なのに。
「何かあったのかなぁ」
彼の思い通りにならない事でもあってイライラしてるのか。そうは見えないけど。お坊ちゃまの考えてること何てわからない。メイドと言うことを取ったら私はごく普通の一般人だ。言うなら少し家事が得意な高校生だ。
「入れ直して参りました」
新しく入れ直したコーヒー。これで駄目ならどうしろというのか。今までで一番の緊張が走る。白夜様がコーヒーを一口啜る。
「……不味い」
その人事を聞いた瞬間、ピシリと何かにヒビが入る音がした。私のプライドか好意と思った気持ちか我慢の限界かどれかわからないけど。このコーヒーだって彼のために世界一にバリスタに教わってその人にも認められるくらいのレベルになったのに。血の滲むような努力をたった一言で否定された気分だ。
「も、申し訳ありません」
私が超高校級のメイドでなければここまで傷つくことはなかったのかもしれない。普通のメイドならこの人の世話は私程度では無理だとあっさりと諦めがつく。そっちがそうならこっちにも考えがある。私という存在の重要さを教えてやればいい。これくらいの仕返しをしても文句は言わせない。それが後で大変なことになるとも今は知らなかった。