幼なじみはもうお終い
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「あーめんどうだなぁ」
放課後。葵ちゃんたちと別れた後、一人図書室へとやってきた。今日は人っ子一人居ない。何が凄いって、司書官も居ないんだよ。今日は不在ですの札だけがあった。勉強しに来ただけだからいいんだけどさ。
「けど一人は寂しい」
あまりの物静かさに机へとうつ伏せる。勉強するなら静かな方がいいけど、こんな広い部屋で一人って言うのも何か嫌。これなら帰って自室で勉強してた方がよかったかな。
「……いるかなぁって期待してたんだけどな」
当てが外れてしまった。ほぼ毎日来てるはずだからいると思ったんだけど。ちょこっとだけ勉強を教えてもらおうと思ったんだけど。今日に限っていやがらない。前もって予約しておけばよかったと今更後悔。
「やる気でなーい」
うつ伏せたまま目を閉じる。そのまま意識は消えてしまった。
「……寝ちゃったよ!」
フッと意識が戻って体を起こすと辺りは真っ暗。それに気付くと同時に、バサッという音がした。背後でしたそれに振り返ると後ろに何か落ちていた。拾うとそれは誰かのブレザー。大きさからして男性物。
「これって…」
ブレザーからする覚えのある香り。優雅なイメージを持つその香りの主を捜せば奥の方にソファー席で優雅に足を組んで本を読む彼を見つけた。薄暗い部屋でそんな格好で本を読む姿は絵になる。才色兼備な彼だから似合うのだろう。
「……あ」
これが私に掛けてあったということは掛けたのは彼。そして居眠りしてるのを見られた。その割にはおかしい。いつもなら分厚い本でチョップをかまして起こすのに。今日に限って起こさないどころか、ブレザーを肩に掛けてくれるなんて。しかも外の暗さからいって結構な時間寝てたはず。
「……これ、ありがとう」
ともかく、これは返さないと。あとお礼。ブレザーの持ち主である彼、白夜は私を一別した後、無言でブレザーを受け取り羽織る。お礼を言う立場なのは私だからお礼は当然言うけど、何か一言あってもいいと思うんだけど。
「じゃ、じゃあ――」
白夜にその辺りを求めるのは無意味だと納得して自分がいた席に戻ろうとした。今から勉強するなら自室だと決め、机に散らかった荷物を片付けようと踵を返すとほぼ同時に腕を引かれた。