幼なじみはもうお終い
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これは私だけのもの
「十神ってなまえちゃんには優しいよね」
唐突にそんなことを言ったのは葵ちゃん。いきなりどうしたの?と訊ねれば、手にしていたドーナツをパクリと一口噛んですぐ飲み込む。いや、ちゃんと噛もうよ。
「なまえちゃんだけ態度が違うって話」
「それは幼なじみだからっしょ?それに優しくないよ」
むしろ厳しいと思う。ちょっと間違うと叩くし。酷いときはハードカバーの本で殴るもん。あれは痛いんだよ。それのどこが優しいって言うんだろう。
「朝日奈よ。我もそうは思わぬが」
「ううん。十神ってなまえちゃんには毒吐かないんだよ」
毒、ねえ。よく愚民がとか言ってるけど、それは言われたことないや。自分で言うのもなんだけど十神家とお付き合いできるくらいの家柄だし。馬鹿はよく言われるかな。これも仕方ないんだけど。
「葵ちゃんの知らないところで言われてるよ、たぶん」
「たぶんって。言われてないかもしれないじゃん」
「朝日奈よ。そう興奮するな」
葵ちゃん……白夜に何か言われたのかな。でなきゃ葵ちゃんから白夜の話なんて出ないよね。この二人も相性悪いからなぁ。白夜と普通に話せるのって苗木くんか響子さんだけだよね。二人への評価が高いから多少の悪態はあれどもそれなりに仲いいし。たまに私じゃ話の輪に入れない時もあるし。
「そんな事より今日、帰りにドーナツ屋さんに寄ってかない」
「我は構わぬ」
「……ごめん。私、明日追試だから今日は勉強しないと」
抜き打ちテストで赤点を取ってしまった。抜き打ちのせいもあるけど、前の日に夜更かししすぎてテスト中に居眠りしちゃって全く問題解いてなかったんだよね。あと一問解けてたら赤点は免れたのに。
「豪快に寝てたもんね」
「うぅ~」
「仕方あるまい。またの機会に行けばよい」
さくらちゃんマジ天使。そういってくれて嬉しい。葵ちゃんはドーナツ屋に行けないのを少し不満そうにしてるけど。
「明後日の放課後行こうね」
と言ったら約束だよ!と目を輝かせていた。葵ちゃん、どんだけドーナツが好きなんだろう。将来の夢はドーナツとか言わないよね?