小さな小さな片思い
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「返却日は一週間後です」
今日も図書委員の仕事。貸し出しようの机で業務をこなす。今日はいつもより人が少ない。と言うかもう一人しかいない。その人が帰ったら閉めちゃおうかな。
「こんにちは」
業務日誌を記入していると頭上から声がした。いつの間にか誰か本を借りに来たのかって思ったら違った。その人物に私は固まってしまう。だって、目の前に立っていたのは苗木くんだったから。声を掛けられたのってあの雨の日以来だったよね?いや、翌日に傘を返した時以来だ。
「な、何かご用ですか?」
うわぁ、声が上擦っちゃった。落ち着け。落ち着くんだみょうじなまえ。向こうは私の片思いなんて知ったこっちゃないんだから。
「十神くん、いるかな?」
いつもの席にいないんだけど、と訊ねられた。週に一度、図書室に来て本を読む十神くんを苗木くんが迎えに来る。いつも決まった席で読んでるんだけど今日はいない。
「十神くんなら、資料室にいるよ」
奥にある資料室を指さす。より専門的な書物や卒業した先輩が書いた論文とかがある部屋。高校生で論文というのが凄いけど。
「じゃあ出てくるまで待ってないと」
過去のことを思い出すとどうやら十神くんが資料室に入ってるときは呼びに行っても追い返されるらしい。仕方ないなって小さく笑う苗木くんは可愛いと思う。男の子だから可愛いって言ったら嫌がるだろうけど。
「今日は人が少ないんだね」
「へ?あ、うん……」
ビックリした。まさかまた話しかけられるなんて思ってなかったから。こ、これってある意味ラッキーだよね?この機会に仲良くなれば……って何を話せばいいんだろう。こういう時、どうしたらいいのかわからない。あまり男の子と話さないから何を話せばいいんだ!?
「ふふっ」
突然笑われて私はキョトンとしてしまう。苗木くんは楽しそうに笑ってる。
「みょうじさんって面白いね。表情がコロコロ変わってて可愛い」
み、見られてた!?いや、そもそもそんなに顔に出てたの!?いやいやいや、それより苗木くん、最後になんて言った?
「かかかかかわいい?」
確かにそう聞こえた。けど聞き間違えかもしれない。変わってるとかそんなんだったのかも。うん、きっとそうだ。