それは君の勘違い
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「で、さっきの不安って?」
「ん?」
昼間だというのに噴水前に人はあまりいない。そんな噴水の前でパン屋で買ったサンドイッチを頬張っていると不意にセネルが聞いてくる。さっきの?何のことだと思ったけど、すぐにセネルと会ったときのことかと思い出す。
「いやー、うん。セネルたちも知ってるけど、あたしってレクサリアの軍人じゃん?」
「聖皇陛下の護衛役なんだろ」
あたしの今の、17才という年齢でそんな大役を任された。正確には一年前。それなりに腕に覚えがある。職務を忠実にこなせるだけの能力も持ってると自負している。
「なのに何で保安官やってるんだろうって。別に保安官が悪いってわけじゃないけど……」
脇に置いていたコーヒーを手にしてひと啜り。
「本来のあたしの任務じゃないよなぁ、って思っちゃって」
何事もないのが一番。遺跡船は前より平和になったと思う。ただ魔物の凶暴さが増してきたということと大陸からの渡航者が増えたのは少し問題。
「聖皇陛下の護衛が聖皇陛下の側に殆どいないって問題だと思わない?」
「確かにな」
あたしの悩みを理解してくれたのか、セネルも頷く。保安官だって大切な仕事なんだけど、何か違う。他の人に任せるというわけにもいかない。街に人が増えたせいでウィルやセネルだけでは対処できなくなってるし。
「ミュゼットさんにはミュゼットさんなりの考えがあるんだろ」
「あの方に限って適当はないと思うけど」
適度に、と言う意味ならあるだろうけど。いかせん納得のいかないままサンドイッチの残りを口に入れる。本国じゃない限りはそこまで警戒する必要はないとは思うけど、大陸からの渡航者が増えた以上安心は出来ない。
「今度、進言してみよう」
「それがいい言と思うぞ」
そういった危険視を報告して対策するのもあたしの仕事だ。申し訳ないけどあたしの本来の仕事は聖皇陛下を守ることで、街の見回りではない、はず。
「ところで、さ」
ふと気になったというか、タイミング的にちょうどいいというか、聞きたいことがあって隣に座るセネルを呼ぶ。どうした?と言った風にセネルもあたしのほうへと顔を向ける。