私を癒したのは天使でした
「それとも、僕は信用できない?」
「そんな事ない!ジュード君はマジで天使だもん!」
少し悲しそうな表情をするジュード君を見て思わず叫んでいた。言い放ってから私は何を言ってるんだ?と固まった。吐いた唾は飲み込めないのと一緒で発してしまった言葉も取り消せないわけで。
「え、えっと……」
穴があったら入りたい。顔というか体中が熱い。血液なんか沸騰しそうなくらい。
「ふふふっ。その方が[#dc=1#]らしいよ」
私の天使発言なんか気にもせず笑うジュード君。
「で、でもぉ……」
「知ってたからって絶対そうなるとは限らないけどでしょ?」
ジュード君は優しいからこう言ってくれるけど、やっぱり。みんながどれだけ傷付き悲しむか知ってるのに、それを私は言わない。言いたくない。
「それに、言わないのは僕たちのためでしょ?いいんだよ、それで」
一人悩んでたのが馬鹿みたいに、ジュード君には全部わかっていて、何だか恥ずかしくなる。でもでもなんでジュード君はわかったんだろう。
「黙ってることが辛くなったら僕に言って?愚痴くらい聞くからさ」
「……ジュード君」
なんでなんでそんなに優しいの?そんなに優しくされたら泣きたくなるじゃん。こうやって直接話したりして接してるとみんながキャラクターだなんて思えなくなる。
「ねぇ、[#dc=1#]。一つ聞いて言い?」
「いいよ?」
ジュード君が私に聞きたいことって何だろう。なんか改まった感じもあるけど。
「僕たちって[#dc=1#]から見たらやっぱり物語の中の人なの?」
「違うよ!ジュード君はジュード君だよ!」
もちろんみんなも!ちゃんと会話して触れることも出来るもん。掴まれてる手にはジュード君の温もりを感じてる。これはちゃんと本物だ。
「なら、よかった」
と、ジュード君は私の頬を両手で挟む。挟んだと思ったら、目の前にジュード君の顔。えっ?と驚いて腰を引きそうになったけどその前にチュッと音を立てて私の唇に何かが触れた。
「じゃあ、僕のこともちゃんと男としてみてとね」
あと覚悟しておいてね。と満面の笑みで言われたけどその言葉を理解したのは一時間後のことだった。
私を癒したのは天使でした