私を癒したのは天使でした
「普通、ならでしょ?」
「ジュード君?」
私があれだけ怒鳴ったのに変わりなく微笑んでくれてる。優しくふんわりと。
「生憎僕は普通じゃないことに慣れてるからね」
知ってるでしょ?と言うジュード君に知らないとは言えない。知ってる。ジュード君たちの一年前の物語も。
「あれだけのことを体験してきたんだ。[#dc=1#]のことだって同じだよ」
そりゃあ、最初は驚いたけど、と。それで納得できちゃうの?という疑問が浮かんでるとジュード君は私の心を読んだそかのように、それこそ普通の人は精霊の主とか精霊界とかそう言った事を知らないよ。と言い、それもそうかと私が納得してしまう。
「それに、[#dc=1#]は[#dc=1#]でしょ?」
当たり前のように言うジュード君から目が離せない。屈託のない綺麗な瞳で言った。
「[#dc=1#]の悩み事ってそれ?」
「う、うん」
ジュード君に問われて頷く。その程度と言われてるみたいなんだけど、気のせいかな。ジュード君に限ってそんな事は言わないだろうけど。
「[#dc=1#]って馬鹿だよね」
「なっ!?ひ、否定しないけど面向かって言われるとムカつくというか悲しくなる!」
ハッキリと言われると泣きそう。ジュード君みたいに頭は良くないけど。ああ、お利口さんになりたい。
「だってそんな事で悩んでたなんて」
「そんな事!?私には大事なことだもん!」
いくらジュード君でも頭に来た。このままここにいるとジュード君を殴っちゃいそうだから今度こそ宿に帰ろうとしたら、手はまだ掴まれたまま。力任せに振り解こうとしたけどその瞬間、ジュード君が手を掴む力を強くした。
「聞いて」
静かに言われ、浮かしかけた腰をベンチへと戻す。
「もし、僕やみんながその事で[#dc=1#]を気持ち悪いって思ってたら最初から一緒にいないでしょ?」
その時に何らかの形で別れるか別の対処をしてたよ。違うかな?って言われて否定が出来なかった。
「で、でも……」
落ちた心はそう簡単じゃなくて。素直に受け入れられないでいる。ジュード君の言ってることに間違いはない。あれだけの人間が揃ってるんだもん。一国の宰相がいる時点でそうなんだよね。