世界が終わるまでは
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「あれ。そう言えば、エルは?」
ルドガーの家にお邪魔すると部屋には誰もいなかった。てっきりエルは留守番してるものだと思ったけど。もう日も暮れ始めてるのにエルの姿はない。
「エルなら今日はレイアとエリーゼと一緒だよ」
三人で買い物に行ってそのまま宿に泊まるらしい。明日の朝、合流することになってると。ってことは、ルドガーと二人きりなんだ。
「できたぞ」
ソファーでくつろがさせてもらっているといつの間にか夕飯は出来た。マーボーカレーの匂いが食欲をそそり今にもお腹が鳴りそうだ。
「いただきます」
手を合わせてからスプーンを取る。口に入れれば程良い辛さが口いっぱいに広がる。
「幸せ~」
「大げさだな」
本当にルドガーの料理は美味しい。毎日食べていた室長が羨ましい。
「なぁ、なまえ」
後片づけを終えたルドガーがソファーでくつろぐ私の隣に腰を下ろす。その表情はいつになく神妙な面もちだった。だから彼が何を聞きたいのか瞬時に察してしまった。
「兄さんは何処にいるんだ?一体何をしようとしてるんだ?」
ルドガーが『たまたま』巻き込まれた列車事故のテロ犯として指名手配されたユリウス室長。骸殻に変身出来ることや分史世界のこと。あの事故を境に今まで隠してきていたことが明るみになってしまった。あれは『たまたま』ではなく『必然』だっと言わざる得ないよう。
「……それは」
「教えてくれ!なまえなら知ってるんだろ!?」
ガシッと両肩を掴まれる。痛みで顔を歪めたが、ルドガーはそれどころじゃないようだ。私が室長の直属の部下だから。たぶん、ルドガーの知りたいことは全部知ってると思う。ただ、今も同じ事を考えているかは別として。でも、
「ごめん……知っていても教えられない」
知らないとは言わない。そんな訳ないのはルドガーだけじゃなく、ジュードや他のみんなもわかっているから。
「どうして!」
「室長との約束だから」
教える訳にはいかない。教えてしまったらルドガーは室長の邪魔をするかもしれない。ただ真実を知ったならば絶望に打ちひしがれるかもしれない。そうならば邪魔にはならないけど、ルドガーは立ち向かうと、私はそう思っている。