世界が終わるまでは
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私の想いは届かなくていい……
「これで終わりかな」
魔物がもう現れないことを確認して、仕込み銃が施されたトンファーを折り畳んで太股のホルダーへと仕舞う。それに倣うかのようにルドガーも双剣を仕舞った。
「んじゃ戻ろっか」
「ああ」
GHSで会社に簡易的な報告を入れる。帰ったら報告書を提出しなくてはいけないと思うと面倒だけど、あの数の魔物退治をルドガーが手伝ってくれただけでも感謝をしなくちゃ。一人でも出来なくはない。でもこんなに早く終わるわけはないし疲れる。また明日から分史世界を壊しに行かなくちゃいけないんだから。
「報酬は街に戻ったら渡すから」
「悪いな、いつも」
指で丸を作って彼へと向くとルドガーは苦笑をする。借金返済のために手伝わせてもらってると思ってるみたいだ。まあ、それも無くはないんだけどね。
「何言ってるの。私はルドガーの教育係だよ?エージェントとしての任務を手伝わせて覚えさせるのも私の仕事」
ただ分史世界を壊せばいいだけじゃない。できることなら、そんな事をルドガーはさせたくない。室長の願いでもあるから。
「エージェントは魔物退治や要人の護衛をする事もあるんだよ」
「……ああ、そうだったな」
あまり納得してないかな。報酬の金額のせいか。でもあれは正当な金額だしなぁ。彼はまだエージェントが如何に不毛で危険な職業かわかっていない。むしろ、このクランスピア社自体がただの大企業と思ってるだろうし。
「早く戻ってご飯食べよ。お腹空いちゃった」
「俺ん家、来るか?何かご馳走するよ」
お腹を押さえると、ルドガーはやっと笑みを浮かべる。常に気を張ってるのは仕方ないとはいえ、あたしはただ借金返済を援助してやるしかできない。室長の目的も社長の目的も、クルスニク一族の秘密も彼には話せないのだから。
「だったらマーボーカレーがいいな」
「わかった」
今まであまり食べたことはなかったけど、ルドガーたちと同行するようになってからよく食べる。彼の作る料理はどれも絶品だからというのもあるけど。
「ふふふ、楽しみ」
今日の夕飯が確保できたところで足取りが軽くなる。私たちはトリグラフに向けて来た道を戻った。