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「……ごめんなさい」
何とか食材を購入して、宿への帰り道。わたしは立ち止まってしまう。荷物をギュッと抱きしめて。
「何ですか、いきなり?」
前を歩いていたヒューバートも立ち止まり振り返る。わたしがいきなり謝罪したからか、眉間に皺を寄せていた。
「あんな話したから、気分を害したでしょ?」
あの話は、アスベルと教官にしかしてない。なのに、なんで話しちゃったんだろう。
「僕は気にしてません。いえ……むしろ聞けて良かったです」
「なんで?」
ちっとも面白い話じゃない。少なくともわたしには隠したい過去の一つ。アスベルと教官はまぁ……任務の時にたまたま話しちゃったけど。ヒューバートって結構、潔癖症だと思ってたから、意外かも。
「なまえを知ることが出来ましたから。あなたが努力家だと言うことを」
「……えっ」
それはそれだけあなたが頑張った証でしょ?と言った。その言葉にわたしは目を見開いて驚く。彼らが言ってくれた言葉を目の前の少年も言ってくれた。それに驚いた。
「……ふぇっ」
「ちょっ!?ど、どうしたんですか?」
突然泣きだしたわたしにヒューバートが狼狽える。辺りを見回し、困ったようにわたしの顔を覗き込む。ポロポロと落ちる涙は止まらなくて、また迷惑掛けちゃう。
「だって……わたし、孤児だし……っ」
「それはあなたの責任ではないでしょう」
こんな泣き虫じゃなかったのに。アスベルたちに話したときは泣かなかったのに。
「……ヒューバート、わたしみたいの……嫌いでしょ?」
いつもわたしに対してだけ厳しい。パスカルや教官みたいに仲良くなる要素がなかったのもあるけど。
「それは……否定はしませんが肯定もしません」
ヒューバートの言葉の意味がわからない。流れる涙を拭きながら彼の顔を見るとうっすら頬が赤い。照れ顔は別に初めてじゃないけど、こういう表情をすると年相応に見えるんだよね。言うと怒られるから言わないけど。
「僕はなまえを誤解していたようですから」
「誤解?」
言葉を続けるヒューバート。そもそも何を誤解してたのかな。わたし、誤解されるような事ってしたっけ?思い当たる節がなくてつい、首を傾げてしまう。